Duo Sciotti=有名ブラジル人が8日にショー=日本文化顕彰し記念CD

ニッケイ新聞 2010年5月8日付け

 「僕がこんなCDを出すなんて、ジョーも知らないよ」。TVグローボの人気深夜番組「ジョー・ソアレス」のバンドマンで、有名音楽家のデリコ・スシオッチさん(44)と兄セルジオさん(48)が、日本音楽名曲集を収録したCD「絆」の発売記念コンサート「Duo Sciotti」を8日午後8時から文協大講堂で開催するに当たり、7日午前、ニッケイパラセホテルで記者会見を行い、そう言って笑った。
 深夜番組の中でも最高の視聴率を誇る同番組。そのバンドマンの中でも、ジョーとかけ合い漫才のような絶妙なからみをすることで知られるデリコさん。妻が芸術家で楽焼きを勉強に訪日したことから縁がうまれ、07年に自身が日本音楽を演奏する機会があり、その時から一気に関心が深まったという。
 日本音楽への理解を深めようと昨年9月に20日間も訪日し、東京、広島、京都、日光などを回った。「日光では、外国人慣れしていない静かな旅館に泊まって日本人のように過ごした。とても刺激的だった」。
 特に気に入ったのが渋谷だった。「道端で若者のバンドがあちこちで演奏していたから、自分もフルートで日本の曲を吹いたらすごい喜ばれた。日本の有名アーティスト、渡辺貞夫とか坂本龍一とかはボサノバとか外国の音楽を録音するけど、日本の名曲は収録していないんだってね。もったいないから僕がやろうと思った」と笑う。
 「このCDは日本人と日本文化への顕彰として個人的に制作した。商業化するつもりはない」という。「日本の曲だけど僕らなりに解釈してブラジル風味を加えると、まるで最初から自分の曲だったように感じる。『川の流れのように』は全てが素晴らしいし、『瀬戸の花嫁』のメロディは最高だし、『真っ赤な太陽』の躍動感もちょっと他にないと感じる」と賞賛。その他『乾杯』『上を向いて歩こう』なども収録され、演奏会でも披露する。
 スシオッチさんは普段、フルート、サックス奏者として知られるが、当日は特別に日本語で『マイ・ウェイ』を歌う予定。「最近カラオケにはまっててね。たまたま歌ったら大受けしたんで、すっかり調子に乗ってるんだ」。ショーでは平田ジョー、伊藤カレン、ハヤフジ・アレシャンドレらコロニア歌手も共演する。
 彼が日本音楽に近づくきっかけを作った佐藤セルジオ孝男さん(TASAイベントス社)は、「日本文化が当地に広まりつつあるが、彼の存在はそれをもっと進める起爆剤になる。このショーをきっかけに全伯日系団体のイベントから招待がくるようになると期待している」と語った。
 入場料は20レアルで、同CDを購入するにはさらに20レアル。当日はスシオッチさんのサイン会も行われる。