第10回富有柿祭りに5万人=ピエダーデ市制170周年=秋の味覚に魅せられ来場

ニッケイ新聞 2010年5月29日付け

 ピエダーデ市制170年を記念した第10回富有柿祭りが21日午後オープン、22、23日にわたり開催され、秋の味覚、富有柿に魅せられて、開催期間中、約5万人の入場者で会場のピエダーデ文協は大賑わいとなった。生産者による柿の直売所では3500箱(平均8個入り)が飛ぶように売れ、地元の名産物の底力をみせた。栽培技術を競う品評会は、榎園栄二(えのきぞの・えいじ)さん(ピエダーデ柿生産者協会々長)が富有、祇園坊、きょうとの3種で優勝、会長みずから高い栽培技術を証明して注目された。また見物ツアーの貸切りバスも次々に会場を訪れた、サンパウロ、ソロカバ、カンピーナス、サントアンドレ、イグアッペ、セルトンジンニョなど広範囲からの観光客は、深まり行く秋の柿祭りを楽しみ、特産品のお土産を求め喜々としていた。

文協、生産者協会、市3者一体で多大な成果

 サンパウロ近郊で最も人気の高い「富有柿祭り」はピエダーデ文化体育協会(弘末武ひろすえ・たけし会長)主催、ピエダーデ柿生産者協会(榎園栄二会長)及びピエダーデ市(ジェルミアス・リベイロ・ピント市長)の後援により3者1体となって開催された。
 21日午後4時半から開会式は文協会館前で行われ、野村和久在聖領事から桂川富夫ブラジル日本文化福祉協会副会長、菊地義治サンパウロ日伯援護協会副会長、吉岡黎明救済会々長、山田康夫ブラジル日本都道府県人会連合会副会長らが駆けつけ、山村敏明聖南西文化体育連盟会長、レナット・アマリ下議、ジェレミアス・ピエダーデ市長、中山ノルトン同市議ら各市議、市高官ら多数の来賓が出席した。
 式典は、まず国歌、続いて市歌斉唱にはじまり、弘末文協会長が主催者を代表してあいさつ、まず来賓と出席者にお礼を述べ、「市と生産者協会の後援を得て同祭を市制170周年記念行事として開催できることを心から喜び、市長はじめ関係者に深く感謝する」と述べた。
 ジェレミアス・ピエダーデ市長は「柿祭りと共に市制170周年を祝うことは意義深い、日系農家の大きな貢献に厚く感謝し、敬意を表したい」と述べた。
 続いてメイン会場(文協会館)のテープ・カットが行われ、来賓は、弘末会長の案内で、ミス柿(ガロッタ・デ・フェスタ)のモニカ・ぺレイラ・ドミンゲスさん(16)とシナラ・ホぺルさん(15)に付き添われて柿を中心にした地元農産物の展示会場を一巡したが、特に見事な柿の陳列場では、「キ・リンダ!」と感嘆の声が聞かれた。 
 メイン会場の他に多数の一般業者の売店が居並び、特に地元婦人会による売店では新鮮な野菜をはじめ、農産加工品の瓶詰めなどが販売されて都会から来た人々の人気を集めていた。 また、市制170周年にちなみ、市が提供する人気タレントによるショーが前夜祭の20日夜から始まり、23日まで4日間毎晩繰り広げられた。連日2、3千人の観客が詰め掛け、特にシットンジーニョ・ショロロはじめムージカ・セルタネージャの人気歌手たちと日系の平田ジョーなど豪華な顔ぶれに、一般市民たちも大喜び。文字どおり市をあげてのフェスタとなった。
 ピエダーデは古くから柿があったが、それは各自の農地内に数本の木があり、自家用でしかなかった。 
 これを生産ベースにのせて出荷しようと1994年に有志が集い「ピエダーデ柿生産者協会(川上哲司初代会長)を創立し、栽培技術の研究をはじめ、品質の向上と増産に努力してきた。
 現在、会員は40人、富有柿では日本をしのぐ品質に達し、しかも、10回行われた柿祭りによりピエダーデ市の名声を大いに高め、今や「富有柿のピエダーデ」といわれるようになった。
 「一村一品」運動は大きく結実させた関係者の努力の積み重ねは、貴重な農村のモデルケースとなったようだ。