郷土食は終日長い列=お好み焼きは4千食

ニッケイ新聞 2010年7月20日付け

 毎年大人気の郷土食コーナー。今年は45の県人会と5つの日系福祉団体が出店し、各県を代表するご当地料理が集まった。
 兵庫県人会自慢の400帖の「兵庫海苔」は飛ぶように売れ、17日の午後2時過ぎにはもう数えるほど。購買者は一世が中心だったという。「質がいいのを皆さんが分ってくれた」と関係者は顔をほころばす。
 高知県人会の鯛の蒸し焼きは鯛を丸々一匹使い、背を開いてオカラなどを詰め込んだ豪華な料理。お土産ものとして人気があった。
 静岡県人会のうなぎの蒲焼に舌鼓をうっていたのは桜井仁・元福島県人会長。日本に行くたび、うなぎを食べているという桜井さんは今日の一品目もやはりうなぎ。「日本と同じ味がしますよ」と満足そうに話した。
 「(沖縄県人会の)ヤギ汁が今日特に美味しかった」と内田ヒトシさん(51歳、三世)は満足げ。「ヤギ汁は好きか、嫌いかにははっきり分かれるが、僕は大好きです」と話す、一度食べてその味にハマったという。
 開催期間中ずっと行列が途切れなかった和歌山県人会はお好み焼きの一本勝負。40人以上が所狭しと働く屋台では休むことなくお好み焼きを焼き続け、約3900枚を売った。「ハンバーガーのようなファーストフードとして受け入れられているのかも」と木原好規同県人会会長は少々疲労感を滲ませて話した。
 1000食のさんま焼き定食が売れた憩の園の屋台。「県人会ではなく、郷土食もないが何かしたかった。でもどこでも食べられるものでは意味がなかった」と吉岡黎明会長は話す。「さんまなどを食べ、とにかく年寄りが食べて昔を懐かしんでくれること。その気持を大切にしたいと思っています」と出品の動機を語った。定食には味噌汁、ふりかけ、大根おろしも付いた。売上金は全て憩の園に寄付される。
 多くの企業、日系団体、バザリスタが展示、出品を行ったパビリオン内では今年も弓場農場のブースに来場者が群がった。
 防腐剤を使わない手作り品が並ぶ同ブースでは若者が「いらっしゃいませ」と声を張り上げて接客に当たっていた。今年はかりんとう、マンゴー、花うめ等のジャム、甘味噌、福神漬けなど40種類、5500品を準備した。「一年間待っていたの」と言い20キロの甘味噌を買っていく来場者もいたという。
 祭りの終了後、与儀会長は「郷土食コーナーのほぼ全部の県人会の屋台が完売した。大成功でした」と笑顔で答えた。