コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2010年7月22日付け

 来社した岐阜県農業高校生派遣団へのインタビューの後、生徒たちに写真撮影を求められた。何でも派遣期間中に「お世話になった人」の写真 を記録しているらしい。
 最近、撮る事には慣れてきたが、撮られることには妙に緊張を覚えてしまい、不覚にも顔が引きつってしまった。
 それはさておき、「お世話になった人」の写真が届いた。いや、お世話になったでは足りない日本の家族の写真だ。真夏の日本、実家のタンスから引っ張り出した冬物衣類が詰め込まれた荷物に添えられていた。
 写真には身長150センチ台の祖父がサイズ違いであるコラム子の服を着る姿も。届いた衣類以上に心が温められた。
 移住者が故郷からの便りを受け取った気持ち―には程遠いかもしれないが、道中、少々くたびれた段ボール箱の中身を取り出しながら、郷愁の味をほんの少し舐めた気がした。(秀)