原爆の悲惨さ、次世代に=レジストロで第2回灯ろう流し=ブラジルの〃平和発信基地〃=600人が鎮魂の合唱

ニッケイ新聞 2010年8月10日付け

 平和の大切さを子供たちに伝えたいー。サンパウロ州レジストロで『第2回平和灯ろう流し』が7日午後に行われ、400基の灯ろうがリベイラ川に流された。サンパウロ州教育局の後援もあったこのたび、地元レジストロを中心に31校約600人の生徒が日本語のコーラスで鎮魂の歌声を響かせた。指揮も務めたシルビア・ナヴァーロス教諭(56)は、「来年はもっと多くの生徒が参加できるよう働きかけ、平和を学ぶ機会にしていきたい」と笑顔を見せていた。

 聖南西文化体育連盟、リベイラ沿岸日系団体連合会、広島文化センター、長崎県人会、ブラジル被爆者平和協会、レジストロ日伯文化協会、インスティツート・イカロの共催。サンパウロ州教育局が後援した。
 大竹富江さんのオブジェがあるリベイラ川沿いの公園で行われた式典の開会のあいさつで山村敏明氏(聖南西連盟・リベイラ連合会長)は、「世界で初めて原爆が投下されてから65年経った今でも核兵器の脅威は消えていない。灯ろう流しを通じて若者に核廃絶を訴えたい」とレジストロを〃平和発信基地〃と位置付けた。
 レジストロ市のサンドラ・ケネディ・ヴィアナ市長は、「このような平和式典が行えることを関係者に感謝したい」と感謝の意を表した。湯崎英彦・広島県知事、中村法道・長崎県知事からのメッセージをそれぞれの県人会代表者らが代読した。
 在サンパウロ総領事館の小林雅彦首席領事は、「核軍縮は国と国だけでは不十分。市民社会が協力し政治に影響を及ぼすことが大事で、(本イベントは)称賛に値する。ブラジルと日本は兄弟であり、一つのモデルと捉えたい」と評価した。
 ブラジル被爆者平和協会の渡辺淳子理事が森田隆会長のメッセージを代読。インスティトゥート・イカロの小川彰夫代表が「世界平和宣言」を行い、長山アゴスチーニョ神父が祭壇の前で祈りを捧げ、献花、献水もあった。
 続けて、生徒らが「原爆許すまじ」「千羽鶴」を日本語で、「ローザ・デ・ヒロシマ」を高らかにコーラスし、折鶴を参加者らに配った。
 同時に灯ろうがリベイラ川の上流から流され、参加者らは暗闇のなか川面に流れる光を見詰め、平和への誓いを新たにしていた。
 「日本語の歌詞を2カ月かけて覚えた」というタイス・ピロンさん(16)とジョアナ・ペレイラさん(15)は、KKKKのイベント会場で開催された原爆写真展も訪れた。「本当にひどいことが起こったことが分かった。二度と戦争をしてはいけない」と語っていた。