コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2010年8月11日付け

 取材先などで、日本から戻った日系人と話す機会がある。
 自費で戻った人、日本政府の帰国支援金を受けて帰国した人。すでに1年近くが経っているが、再入国を考えて定まった仕事をしていない人もいる。
 いずれにせよ、長い人で20年にもなる日本での生活を切り上げた。それは大きな決断だったろう。
 先月末、日本とブラジルの社会保障協定が署名された。しかし、実際に保険料を納めていた人は少ないだろう。恩恵を受けられる人はどれほどいるだろうか。
 在日ブラジル人の帰伯ラッシュは確かに一段落した。しかし、自身の仕事、家族の生活・学校適応など、帰ってきた人たちの苦労はまだ続いている。むしろブラジルでの困難はこれから訪れるのかもしれない。
 送り出した側である日系社会は、いま何ができるだろうか。(ま)