コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年8月17日付け

 その昔は「井戸塀」と云われ、政界に乗り出して家も田んぼもなくなり井戸と塀しか残らなかった人を「イドベイ政治家」と揶揄したものである。あの大富豪の藤山愛一郎さんも岸信介首相に誘われ政界に入り、安保改定に尽力したが政権の座を求め私財を使い果たし寂しく世を去っている。とにかく―政治がカネ食い虫なのは、今も昔も同じだし東西を問わない「真実」のようだ▼「政界の暴れん坊」の浜田幸一さんが、千葉県警に逮捕され起訴された。2億の担保株を売却して融資先に損害を与える事件を起こしたのだが、政界から引退してからは経済的にきつかったらしい。衆議の頃に米・ラスベガスのカジノで賭博し1晩に4億六千万円も負けたの話もあるし、大の共産党嫌いで知られ「宮本顕治議長殺人発言」で予算委員長辞職に追い込まれと―真に騒がしく賑やかで庶民人気も高かった▼カネで政界を離れた人は多い。新潟の田中章治衆議は、国有地払い下げで詐欺に問われ有罪判決を受け控訴中に死亡した。昭和50年のことだが、最近では「政界の牛若丸」の山口敏夫さんが不正融資で実刑となり服役していたが先ごろ仮釈放されている。民主党の実力者・小沢一郎氏は、只今現在も「カネ」で苛められているし、どうも政治家たちは「金力」の魅力に弱いらしい▼浜田幸一さんも81歳と決して若くはないが20年ほど前に上梓した「日本をダメにした9人の政治家」は200万部近くのベストセラーだし「不肖ハナコーが行く」でも元気溌剌さが横溢としている。この綺麗な心でなるたけ穏やかな結末をと密かながらに念じている。(遯)