零細漁民の生活・教育改善を=ベレン=ボスケ学校に草の根協力=漁業・環境教育に8.5万ドル

ニッケイ新聞 2010年8月18日付け

 日本政府は2010年度草の根・人間の安全保障無償資金協力として「漁業学校設備設置計画」の支援を決定し、8月4日、在ベレン日本国総領事館名井良三総領事とボスケ環境教育学校(テレジィーニャ・モラエス・ゲイロス代表、パラー州ベレン市)との間で贈与契約署名式を行なった。

 同計画は、ベレン市オウテイロ地区でボスケ環境教育学校が運営する分校の漁業学校に対し、漁業・環境教育設備を設置するため8万5392米ドルを限度とする資金供与を実施するもの。
 同学校は08年4月、オウテイロ地区周辺の島嶼部で零細漁業を行う漁師の子弟を対象に設立され、初等・中等教育、環境教育、漁業教育を行っている。
 同地域に居住する零細漁民は昔ながらの漁法により漁業を行っているため、漁獲量は少なく、時期によっても漁獲量が増減し安定した収入を上げることが難しい。そのため、禁止されている漁具の使用や禁漁期に漁を行うなどの乱獲が行われ、自然環境に悪影響を及ぼしつつあるという。また、零細漁民の子弟達は幼い頃から学校に通わず家業を手伝うため、同地域の就学率も低くなっている。
 今回の計画により、零細漁民の子弟達は充実した漁業・環境教育を受ける事ができ、同地域住民の就学率向上、雇用創出、環境保全が促進される事が期待される。
 供与式で名井総領事は、同計画の実施により「ベレン市のみならずパラー州全体の環境教育促進に貢献できるよう期待する」と述べた。
 ゲイロス代表は、同校の隣接する島嶼部は貧困住民が多く、犯罪に手を染める者も少なくないとし、プロジェクト実施により「小さいながらも充実した教育施設を設立し、就学率の向上や犯罪防止など、地域社会に貢献することができる」と日本政府への謝意を表した。
 草の根・人間の安全保障無償資金協力は、地域住民が直接裨益する小規模なプロジェクトに対し供与されるもの。ブラジルでは99年から実施されており、在ベレン総領事館ではパラー、マラニョン、アマパー、ピアウイの各州で実施されるプロジェクトを受け付けている。