コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2010年8月19日付け

 第二回移民船旅順丸の渡伯百周年にあたる今年、県人移住百年を祝う県人会を中心に、顕彰の行事が続いている。8日には三世の矢野春子さんが尽力した日本庭園が落成。プレートに刻まれた名前を見つめる子孫たちの姿は、見ていて温かい気持ちになった。
 第一回笠戸丸移民への光が強すぎ、これまで地味な存在だった旅順丸移民。最初の移民と同様に耕地での紛争事件も起きているのだが、賭博師イッパチと最初の歯科医金城山戸の物語のようなエピソードは少ない。
 一世で健在な人はもうないようだが、子供の代は90歳代で今も元気に暮らしている人がいる。日系最初の連邦議員となった田村幸重氏もその一人だという。
 笠戸丸の辛酸に学び、その後の移民全盛期を橋渡しした旅順丸移民。親世代は無理でも、子供たちの記憶を辿ることで新たな史実が明らかになるかもしれない。(ま)