官民一体でブラジルへ投資を=ジェトロが大規模ミッション=日本から39社が視察来伯

ニッケイ新聞 2010年9月17日付け

 ジェトロ(日本貿易振興機構)がこのほどブラジル投資・ビジネスミッションを実施し、製造業など日本企業39社46人が13日から17日まで視察に来伯した。13日夜にサンパウロ市内ホテルで懇親会が開かれ、大部一秋在聖総領事、ルシアーノ・アルメイダサンパウロ州開発局長、ブラジル日本商工会議所の中山立夫会頭のほか、日系、ブラジル企業から約70人が出席した。

 現在、ブラジルにある各国の商工会議所の所属会員数合計はアメリカが約5500社、ドイツ1200社、イタリア1千社、フランス900社。日本の場合500社と推定されており、日本からの投資は2008年に41億ドル、09年は16億7千万ドルとなっている。
 ジェトロ・サンパウロセンターの澤田吉啓所長によれば、同ミッションは昨年経済産業省とブラジルの開発商工省が立ち上げた日伯貿易投資促進合同委員会で提案されたもの。視察を通して情報収集の場を提供し、日本企業のブラジル進出を支援する。
 大部総領事は高速鉄道構想の現状や地デジ日伯方式の南米普及に言及し、「右肩上がりのブラジルの雰囲気を肌で感じて欲しい。官民一体となった投資に向かい、20年振りの日伯経済関係の黄金時代に入っている」と強調。
 ルシアーノ局長はオリンピック、サッカーW杯の開催を控えているほか、2013年の万博開催地にブラジルが立候補している点を挙げ、「様々なイベント開催地ともなり有望なブラジルだが、インフラ整備においては、まだ外国投資による援助を必要としている。それによってより早い発展が望める」と説明した。
 同ミッションの団長を務めるジェトロの柳田武三理事は「現地企業とのネットワークを大切にし、情報を共有していきたい」と呼びかけ、経済産業省の戸谷文聡大臣官房審議官は「日本企業の活動を全面的に応援していく」と力を込めた。中山会頭の乾杯の音頭で、ミッション団と現地企業の交流夕食会へと移った。
 一行は5日間の滞伯中にサンパウロ市、サントスのほか、自動車、消費財、物流・電気・電子の3コースに別れてクリチーバ、サルバドール、マナウスの現地企業を訪問。現地生産の手順や、高い流通コストへの対処などへの関心が高いようだ。
 国内出荷量第3位の味噌を提供する「ひかり味噌株式会社」から参加した小橋知宜・海外営業課課長は、伯市場を確認し、「塩分控えめを売りに、すでにある現地メーカーと共存して流通させたい」と説明、年内にも試験販売を開始する予定だ。