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空手で礼儀身に付けて=静岡県=ブラジル人子弟教える鴨川さん日本の文化 肌で学ぶ

ニッケイ新聞 2010年9月29日付け

 【静岡新聞】御前崎市などで空手の道場を運営する鴨川正博さん(65)=同市佐倉=が、菊川市のブラジル人学校の子供たちへの空手指導に力を入れている。「空手を通じて、日本での生活に必要な礼儀などを身に付けてくれれば」(鴨川さん)との思いから引き受けたボランティア活動で、学校関係者は「日本の文化を肌で学ぶ場を、つくってもらっている」と感謝の気持ちを寄せている。
 「はい」「ありがとうございました」―。水曜の午後、菊川市高橋のみなみやま会館には、近くのブラジル人学校「エスコーラ・ブラジリア・ソル・ナセンテ」に通う5~12歳の子供たちの、元気な声が響く。週に1度の鴨川さんの指導日だ。
 胴着をまとって形や組手を繰り広げる子供たちの表情は真剣そのもの。休憩に入ると、ミレーナ・アギアルさん(12)が「空手はとても楽しい。形をうまくできたときはうれしくなる」と充実した笑顔を見せた。
 指導が始まったのは約1年前。「普段の授業やブラジル人コミュニティーの中だけでは、日本の伝統やマナーを伝えるのが難しい」と感じていた同校の堀田セニーラ校長(51)が、知人を通じて依頼した。堀田校長は「空手の技術だけでなく、言葉や作法も教えてくれる。子供たちは身の回りの整理やあいさつがしっかりできるようになった」と喜ぶ。
 「みんな話を素直に聞き、集中力も高い。何より一生懸命。やりがいがあります」と、自身にとっても貴重な指導経験になっていると明かす鴨川さん。今後は、「対外試合への参加を呼び掛けたり、道場に通う日本人の子供たちとの交流会なども計画したい」という。
 同校の子供たちは10月31日の同会館まつりで、地域住民にこれまでの練習成果を披露する予定。

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