大志万学院=お話大会で練習成果披露=「25年前の高レベル」とも声も

ニッケイ新聞 2010年10月8日付け

 大志万学院(川村真由美校長)が主催する4カ国語による第5回お話大会が2日午前、同校講堂で行われ、生徒らは数カ月かがりで練習してきた成果を披露し、満員となった会場の父兄から拍手を浴びていた。
 日本語の部では、塩沢佳アンドリウさん(7年生)が「初めての家族旅行」の話をし、ジェットコースターに乗った時の体験を臨場感たっぷりに表現し、会場は笑いの渦にまきこまれた。
 非日系のジョアキン・アモリン・コスタ・イザベラさん(8年生)は「『屋根なし』の子に教えられたこと」の題で、路上生活者の子供から金をせがまれ、母親に言われて自分がパステルを買ってきてあげたら、その子は兄と二分して仲良く食べた。その様子を見て、「さぞやお腹が空いて一人で全部食べたかったろうにと涙が出た。幸せとは何かを教えられた」との逸話を語って来場者をしんみりさせた。
 韓国系の朴泰英ニコラスさん(高校2年生)も「人生の5分の1が過ぎた」と将来展望を流暢な日本語で語った。
 日本語19人に続いてスペイン語8人、英語18人、ポ語16人が時間どおりに発表。途中でセリフを忘れてしまい、泣き出す女の子もおり、先生がそっと寄り添って応援し、最後までやりきった時には、会場から喝采が送られた。
 今回は初めて父兄による発表もあり、自ら経験をすることで、子供の気持ちがよく分かるようになったようだ。
 川村校長によれば週に英語3時間、日本語3時間、スペイン語1時間を義務教科として教えている。「中学卒業時には4カ国語がペラペラになります。生徒からフランス語も習いたいとの要望が出てきているので検討中です」という。現在の生徒数は252人で、3~4年後には高校部開設を目指している。
 日本語審査員を務めたブラジル日本語センターの丹羽義和事務局長は、「びっくりした。25年前なら、これぐらいしゃべれる子がたくさんいた。ブラジル学校に日本語教育を入れる効果を感じた」という。
 審査のために来伯した玉川学園幼稚部の櫻井利昭部長も「とても刺激的だった。日常に埋もれているエピソードを取り出して、しっかりした文章にし、みんなの前で話すのは大事なこと。日本語のレベルも高いと感じた」とコメントした。
 校長の母、松柏学園(日本語学校)の川村真倫子園長は、「非日系の子供も日本語に関心を持つことは素晴らしいこと。日本語教育は国際理解や平和振興に貢献できる」と強調した。
 各カテゴリーの受賞者と大賞は次の通り。
【日本語】▼初心者=井口めいカテリネ▼幼年=伊藤あきおアウグスト▼幼少年=山室由梨恵ステッフィ▼青年塩沢佳アンドリュー▼松柏=朴泰英二コラス
【ポ語】▼初心者=ナバホ中村えいみ▼幼年=遠藤ちえみ・ラリッサ▼幼少年=丹野敬三ウィリアン▼青年=原田歩ケリー
【英語】初心者=榊原ささや・なおみ▼初級=駿藤理香ブルナ▼基礎=シルバ・アラウジョ・ゾンジニ・ジュリア▼中級=田上美恵子ヴァッサ▼中級上=ドミンゲス・デ・カストロ・マリアナ
【スペイン語】▼幼少年=ガウジ・ヴァレラ・ガブリエラ▼青年=中橋みどり
【初心者・幼年チャンピオン】遠藤ちえみラリッサ
【幼少年・青年・松柏チャンピオン】朴泰英ニコラス