東西南北

ニッケイ新聞 2010年10月16日付け

 決選投票に持込まれ白熱している大統領選だが、おもしろいのはテレビのキャンペーンでのCM。セーラ候補を応援するCMには、2体のロシア人形マトリョーシカが登場。サンパウロ市長、サンパウロ州知事、保健大臣などを歴任し、政界での経験が豊富なセーラ人形の中からは、幾重にも重なって小さな人形が出てくる。一方、ジウマ人形はあけてみると中身は空っぽ。それは、対抗するジウマ候補の政界での経験が浅いことを比喩するもの。別のジウマ人形からは、労働者党の影の実力者ジョゼ・ジルセウ氏が出てくるが、ユーモラスで痛烈な表現はブラジルならでは?
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 サンパウロ市セントロのパルケ・ドン・ペドロⅡで14日朝、ブレーキが利かなくなったサンベルナルド・ド・カンポ発、チエテ・ターミナル行きのバスが舗道に乗り上げ、79歳の男性が死亡、75歳の妻も負傷するという事故が起きた。事故当時は時速20キロで走っていたというバスの運転手は、別のバスに追突して多くの人を巻き込むのを避けるため舗道に乗り上げたという。事故車両は既に10年走っており、ブレーキ故障による事故は今年2度目。定期点検を行った車両以外は運行できないはずだが、老朽化した車両を駆使するから事故や故障が起きると専門家。8月から問題続きの地下鉄といい、事故や渋滞を避けがたいバスといい、安全、安心の市民の足確保は難しい。