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父母の故郷で悲願の初公演=歌手の比嘉さん沖縄へ=障害乗り越え夢叶える=「天国の父にも届けたい」

ニッケイ新聞 2010年10月16日付け

 目の障害を乗り越えて活動する歌手の比嘉テレーザ美由貴さん(51、二世)が来月、父母の故郷沖縄県うるま市で初めての公演を開催することが決定し、10日夕方、沖縄県人会ヴィラ・プルデンテ支部会館で壮行会が開かれた。ブラジルうるま市民会(天願貞雄会長)とブラジル字具志川同志会(前堂正順会長)が共催。比嘉さんは集まった約180人の県人会員らを前に喜びのあいさつを行い、「砂山」「浜辺の歌」など8曲を披露した。

 比嘉さんは生まれながらの白内障で、2度の手術により右目は30%の視界を得るが、左目には全く視界がないという障害を背負う。目の不自由から学校への登校を断られても姉妹や従兄弟の助けを得て独学で勉強を続け、ベートーベンを例にした「目が悪いと耳が発達する」との医者の勧めで音楽の道へ。
 10歳で日本の童謡・唱歌とピアノ、エレクトーンを習い始め、18歳で音楽の国家試験に合格。歌手の資格を取得した後は自身の音楽教室を開いたほか、5年前に同支部で第1回コンサート、昨年10月には沖縄県人会館で500人を動員する第2回コンサートを行い、その美声が好評を博していた。
 今回の沖縄公演は比嘉さんの長年の夢だったもの。ブラジル連邦共和国在那覇名誉領事で沖縄ブラジル協会会長の西原篤一さんの尽力で実現した。うるま市では知念恒男前市長が委員長を務める実行委員会が組織され、同市・市議会、市教育委員会が共催。沖縄タイムス、琉球放送、NHK沖縄放送局など各メディアが後援している。公演は11月7日午後3時からうるま市民芸術劇場で開催される。
 しかし、公演を目前に控えた昨月3日、比嘉さんの良き理解者であり、常にその活動を支えてきた父、良喜さんが脳卒中のために81歳で他界した。娘の晴れ舞台を一番に喜んだ良喜さんは日本へも同行する予定で、飛行機のチケットもすでに手配していた矢先の出来事だった。
 父親の死に一度は公演も断念しかけたという比嘉さんだが、初七日を終えた後、楽しみにしてくれている関係者、公演を待ちわびていた良喜さんのためにも予定通りの開催を決意。「日本の人に私の歌を聞いてもらえるなんて胸がいっぱい」と思いを語り、「天国にいる父のためにもがんばって歌いたい」と微笑をみせた。
 壮行会には幼い頃から比嘉さんに歌の心を伝えてきた母、米子さん(80)も同席し「私たち夫婦にとってとても大きな喜びでした。公演を成功させてほしい」と見守っていた。天顔会長、前堂会長が激励、西原名誉領事からのメッセージが代読され、宮平守雄同支部副支部長が乾杯の音頭をとった。
 比嘉さんは従姉妹の安枝さんとその夫光栄さんと共に19日に伯国を出発する。具志川小学校なども訪問する予定。

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