国籍復活手続きの簡素化を=法務大臣に再度陳情書

ニッケイ新聞 2010年10月30日付け

 ブラジルに帰化したものの、日本国籍の復活を求めている人たちでつくる「ブラジル在住日系人国籍復活推進委員会」の羽田宗義代表、井料堅治、石井久順の各氏らが18日、柳田稔法務大臣宛の陳情書を在サンパウロ日本国総領事館の小林雅彦首席領事に手渡し、「しっかり伝える」との言葉を受け取ったという。
 同委員会の運動により約2800人の署名が集まった。現在ブラジルには、ほぼ同数の帰化日本人がいると見られている。
 主に農業移住者であった一世らが帰化したのは当時、外国人の土地購入に制限があったため。取得した地権を担保に銀行から融資を受けることもあり、多くが〃便宜上〃ブラジル国籍者となった。
 その後、日本に渡航するさい、手続き上、日本国籍離脱届けを出さなければ、ヴィザが発行されないため、已む無く署名した経緯がある。書類上は、「本人の申し出により」となっている。
 現行の法律では、国籍の復活手続きは、日本国内に数カ月滞在する必要がある。
 「現実的に無理。在外公館があるのだから、ブラジルでもできるよう手続きを簡素化する法整備を進めてもらいたい」と羽田代表は力を込める。
 続けて、「参議院議長として07年に来伯した扇千景議員(当時)に手渡した。『帰国後、十分検討のうえ、返事を差し上げる』と言われたが、一切連絡はない」と場当たり的な対応に表情を曇らせる。
 同委員会は、08年に麻生太郎衆議(当時日伯議連会長)、今年3月には千葉景子法務大臣(当時)にも請願書を送っている。
 井料氏は、「大臣がコロコロ代わるなど、日本の政局を見ているとそれどころじゃないというのは分かるけど…」と苦笑いする。
 近々訪日する石井氏は、日本の政治家にも呼びかけるという。「私自身コチア産組の拓殖係長として数百人の帰化手続きを行った責任がある。そもそも、この問題がほとんど知られていないのも問題」と話している。