南麻州=タキモト氏州議当選=「高齢者対策を手厚く」

ニッケイ新聞 2010年11月5日付け

 南麻州ドウラードス市を地盤とするタキモト・ジョルジ氏(69、二世)が統一選挙で州議に当選し、挨拶のために来社した。両親は香川県高松市出身で、1930年代に移住した。
 本業は医者で42年間に渡って地元の貧困層などを相手に医療活動をし、その患者の家族が投票して2万3600票を獲得した。「選挙運動といってもボクは新車2台分、8万レアルぐらいしか使っていない。多い人なら百万レアルとか使っているでしょ。ドウラードス近郊までしか出向かなかったし、元患者が協力してくれたから大した運動はしなかった」。
 政治家としての経歴は長く、74年に同市副市長を務めたのを皮切りに87年には副州知事、91年には連邦下議に当選したが、95年に落選したのを契機に事実上退いていた。
 今回再出馬を決意した理由を、「恵まれない老人のための医療センターを作るため。1最低賃金しかもらっていない老人は薬を買ったら食事もできない。SUSの列に長いこと並んでも、医者の診察を受ける頃には別の病気に罹っているありさま。何とかしないといけない」と説明し、「岩塩層下油田の利益を、恵まれない高齢者に振り分けたい」と力を込めた。
 同州では、長年任じてきた大坪アキラ州議が今回の選挙で連邦下議に立候補して惜しくも当選せず、繰り上げ当選を待っている。父の代わりに州議に出た息子ルイス氏も落選した。そのため来年からタキモト氏が州唯一の日系州議だ。加えて配偶者が日系のディオネ・ハシオカ州議もいる。
 「父は貧しかったが働き者だった。私には『たくさん勉強しろ』といつも言っていた。そのおかげでサンタカーザ大学医学部(サンパウロ市)にも行かせてもらえた」と振り返る。「別の候補が日系団体と約束をしていたから、ボクは敢えて近寄らなかった」と日系社会との絆が希薄だったことを認めつつも、「日系人の特質をもってブラジル国家に貢献するために二世はもっと政治家になるべき」との矜持を語った。