外国人施策は国の問題=東京=集住都市会議が要望=災害時の応援協定も

ニッケイ新聞 2010年11月11日付け

 【静岡新聞】浜松市や掛川市、富士市など、日系ブラジル人ら定住外国人の多い全国28市町が集う「第10回外国人集住都市会議」が8日、東京都内で開かれた。災害時の外国人支援の相互応援協定を締結するとともに、初めて関係府省の副大臣の参加を得た討論で、外国人施策について意見を交わした。
 災害時相互応援協定は、災害時の飜訳、通訳支援や外国人応急対策に必要な職員の派遣を盛り込んだ。平常時から防災に関する情報交換を行うことも決めた。
 討論には、内閣府の末松義規、厚生労働省の小宮山洋子、文部科学省の笹木竜三の各副大臣と、鈴木康友浜松市長、座長の清水聖義太田市長(群馬県)ら3人の首長が出席。外国人の受け入れ方針の明確化や、子弟の就学義務化、在住外国人施策全般を管轄する「外国人庁」の設置など、昨年同会議が国に提出した提言の実現に向け、協議を進めた。
 各市長は「EPA(経済連携協定)などで積極的に外国人を受け入れているのに、対策は依然地域任せ。国の問題として覚悟を示すべき」と、外国人庁の設置を強く要請した。副大臣側からは明確な回答はなく、「国民全体の議論が必要」などの意見が出た。外国人児童・生徒の就学義務化についても「ハードルはたくさんある」などの発言があった。
 会議は、今後さらに国や関係機関に雇用環境の改善や子どもの教育などの施策提言を進める宣言を採択した。鈴木浜松市長は「外国人施策はこれまでは地域課題と言われていたが、10年目の節目にやっと副大臣の出席がかない政治課題になった。国と地域の議論がかみ合わなかったが、それを分かってもらうことも大事だった。新たなステージに入った」と成果を語った。