■ひとマチ点描■日本移民の小説を出版した仏人女性イザベレさん

ニッケイ新聞 2010年11月17日付け

 「ブラジルに来て初めて行ったのは、日本移民史料館」――。
 このたび日本移民に関する小説「De Grains en or(金の成る木の約束)」を母国フランスで出版したイザベレ・ミロンさん=写真=は、そう言って笑う。
 夫の仕事の関係で東京に4年間滞在、日本文化に深く触れた。「四季を大事にする感覚がとても印象的だった」。 
 06年、ブラジルへの転勤が決まり、日本から直接、サンパウロに。
 「全く違う世界。日本人がどのようにして根付いたか知りたかった」
 史料館に通い、英語やポ語で書かれた移民関連の書籍を読み漁った。日本人少年の恋愛体験を通して、移民の歴史、世代交代を描く小説にまとめた。
 18日午前には、史料館8階でフランス人学校の父兄を対象に、日本移民のレクチャーを行なう。あわせて日本、ブラジルで描いてきた絵画約30点を9階で展示(16~19日)する。
 12月初旬にはブラジルを離れ、パリでの生活が始まる。
 「ポ語、日本語での刊行を準備中。日本人にも読んでもらいたいけど…間違いを見つけられたらどうしよう」と屈託なく笑った。(剛)