懐かしい唄で1日過ごす=第7回山形民謡コンクール

ニッケイ新聞 2010年11月26日付け

 「第7回山形民謡コンクール」(同県人会主催、委員長=押切壮フラビオ県人会長)が15日に宮城県人会館で開かれ、96歳を最高齢に80人以上が出場して日頃の成果を披露した。終日100人以上の来場者で和気藹々とした雰囲気に包まれ、審査の結果、「新庄節」を唄った中島光さん(77)がグランプリに選ばれた。
 ブラジルの愛好者が山形県の民謡を歌ってのどを競う同行事。「花笠音頭」や「真室川音頭」など有名なものから、「最上川舟唄」「籾すり唄」「新庄節」など、民謡の宝庫といわれる同県の様々な唄が披露された。後援の民謡、尺八諸団体も演奏、お囃子などで協力した。
 大会実行委員長で開催当初を知る斉藤広副会長によれば、最初は「花笠音頭」など同じ曲を唄う人ばかりで、批判的な意見もあったという。「でも、誰でも唄えるのが民謡の原点」と斉藤さん。「最近は曲も、唄う人も、聞く人も増え、良くなってきた。県人会の大きな行事になると思う」と話す。
 17歳で渡伯、会長就任後はじめての同大会となる押切会長も、「皆さんを見ながら、年配の人はやはり昔からの民謡がなじみ深いと感じる」と目を細める。
 今年もレジストロの民謡大和会から15人ほどの少年少女が来聖し、昼食時に山形民謡にあわせて踊りを披露。花柳寿美富浩門弟による踊りや、喜楽太鼓の和太鼓演奏もあり大会に花を添えた。
 午後の部開会前に挨拶した押切会長は関係者への感謝とともに、「雪の降らないブラジルで山形の民謡を聞くとジンと来るものがある。これからも健康に気をつけ頑張って唄ってほしい」と激励した。
 グアイラから訪れた会田清さん(73、山形県)は体調を崩してしばらく民謡から離れていたが、他の用事で出聖したのを利用して大会に出場。「ぶっつけ本番ですよ」といいながらも、見事な唄を披露した。当日は、ロンドリーナなどで民謡を教えていた福田晋一氏のところで共に学んだ木村照子さん(64、アサイ)とも再会し、あいさつを交わしていた。
 各カテゴリの入賞者は次の通り。順に1位から、敬称略。
【寿の部(90歳以上)】伊津野敬嗣、伊津野シヅ、佐藤千代香、【金寿の部A(85~89)】磯田淑代、大石よしえ、坂川オノフレ、【金寿の部B(80~84】浜田米伊、賀集忠士、阿部秀富、谷口忠孝、【銀寿の部A(75~79)】中島光、藤原より子、宮島貞子、【銀寿の部B(70~74)】浜田良香、斉藤礼子、依田茂子、【高年の部(40~69)】石井良子、小渕とみ、石見節子、【青年の部(10~19)】上村ルイーゼ、長田ナンシー、深沢レチシア、【優勝者の部】佐藤吉次、木村照子、小泉正雄。