岡山県=国民文化祭の俳句部門で=山本さんに実行委員長賞

ニッケイ新聞 2010年12月28日付け

 岡山県で10月30日から11月7日まで実施された「第25回国民文化祭・おかやま2010」文芸祭俳句部門で、ブラジルから応募した山本かおりさんの句が同文化祭実行委員会会長賞に選ばれた。俳句部門には、応募総数2039人(7431句)のうちブラジルからも152人(858句)が応募。2人が特選、27人が入選した。
 山本さんの句は、
 かぶと虫山に返して日本去る
 その他、特選・入選句と作者は次の通り。
【特選】
 玉砕の如く重なり火蛾の屑 ささききゅうろく
 遺言の散骨アマゾン河涼し     和田静子
【入選】
 父在す靖国の杜秋日満つ     西山ひろ子
 紅引いて男華やかカンナバル    藤本千秋
 地球てふ不思議な星で秋思かな   古谷綱雄
 斧ふりし吾も老いたり移住祭    酒井祥造
 ブラジルの木蔭賛えて夏惜しむ   小川豊喜
 小さき足二本付きたる毛皮かな  佐藤美恵子
 うやむやに老境にあり深む秋   土田真智女
 昼の虫原爆ドームの草の中     西谷律子
 アマゾンの壷に春愁とじ込めん  織田真由美
 鷹の舞ふ広き空あり大河あり    小島愛子
 お隣は客ある気配夏の月      柳原貞子
 どの顔も村を出てゆく卆業子   山本かおり
 移民老ゆ拓魂失せず耕せり    広瀬美知子
 貨車五輌大豆を蒔いて小百姓    西谷 晃
 つくづくと孫欲し雛も飾りたし  二見智佐子
 荷を軽く軽く桜の日本へ     二見智佐子
 牛追いの角笛哀し秋ひでり     上 八重
 数え日や故郷遠くなるばかり    竹下澄子
 宵椰子に望郷の裸よせもたれ
   ささききゅうろく
 乾干瓢乾干瓢で束ねけり     百合由美子
 朗々と角笛吹いて牧開き      東 抱水
 住職の笑って被る冬帽子      田中菊代
 机上には明日出す手紙十三夜    小斎棹子
 ふんどしを知らぬ世の子の裸かな
   ささききゅうろく
 冬のはえ牛のふぐりに来てとまる 秋村蒼一郎
 冷奴移民の生活にある故郷     小川豊喜
 万緑や大アマゾンに家祖となる   峰下牛歩