日本語教育リレーエッセイ=第12回=日本語に出会えて良かった!=コロニア・ピニャール=広瀬亜佐美

ニッケイ新聞 2011年1月8日付け

 私はコロニア・ピニャール日本語モデル校の中級2年生です。4才の時から日本語学校に通い始めました。今では、もう12年にもなります。
 当時はあまり何が何だかよく分かりませんでした。ただ、毎日、先生と友達と勉強、とは言え遊ぶ事で精一杯でした。家に帰ってからも、次の日、みんなとまた会って遊ぶのが楽しみでたまりませんでした。
 「明日は何で遊ぶのだろう?」
 そうして、毎日が楽しくて、楽しくて、学校に住んでいたいぐらいでした。絵を描いたり、縄跳びをしたり、学校の校庭でかくれんぼうで遊んだりしていました。それは、幼稚園のころの事です。でも、大きくなるにつれ、みんなが勉強している姿を見て、遊ぶことより自分も勉強したいと思うようになり、おじいちゃんから先生に頼んでもらい、1年生で勉強する事になりました。
 次の年は、私は正式に1年生になりました。新しい漢字、言葉、前とは違う事もするようになりました。そして、2年生、3年生、4年生、と進み、早いものでもう12年が過ぎ、中級2年生になりました。13歳の時、初めてJICA生徒研修への面接を受けました。色んな人の前で質問に答えながら自分の考えを話す事は初めてだったので、とても緊張しました。しかし、将来にとってもとても大切な事だと思いました。その時は受からなかったので、次の機会を待ちながら勉強しました。
 長い間、日本語学校で勉強して来て、色んな経験を重ねて来ました。日本語学校で学んだこと、体験したこと、すべてが楽しい事であったわけではありません。いつか、先生に怒られた事がありました。今、思うと私のためだった事がわかります。そして、今は、それがとても役立つ事ばかりです。
 聖南西地域の学校が集まって毎年行われる、林間学校も一つの素晴らしい行事です。色々な学校の生徒達と交流でき、新しい友達もでき、一緒に料理をしたり、掃除をしたり、普段あまりやらない事にみんなと挑戦でき、とても勉強になります。グループ活動でもみんなが一生懸命やっている姿がとても感動的でした。それをみて、自分もがんばろうと励みになりました。
 学校では、フェスタ・ジュニーナや、日本祭りと言った行事も行われます。フェスタ・ジュニーナは私たち生徒、先生と父母会のお父さんやお母さん達みんなで、フェスタの前の日から会場準備や、ギョウザを作ったりします。そのおかげで、私たちは毎年楽しみにしている遠足へ行く事が出来ます。
 日本祭りは何年か前から行われている学校と太鼓部の行事です。祭りでは、日本の踊り、歌、太鼓などを発表します。大人から子供まで一緒にがんばり、祭りをもりあげています。
 先生方、そして父母のおかげで、2010年、私が15歳の時、JICA日本語生徒研修へ行くことができました。最初のころは知らない所へ、知らない人と1カ月過ごすことはとても不安でした。でも、日本語学校で、みんなと協力して色々な行事をする機会があったからこそ、その不安を乗り越え、新しい事を学ぶ事ができたのでしょう。
 日本語を話す事が出来たので、それが可能になりました。そしてこれからももっと勉強しながら、将来にもそれを役立てたいです。
 私がいつか行ってみたいと思っていた、祖父母の生まれ育った国を実際に訪れる事ができ、その国の習慣や、文化もこの目で見ることができ、とても嬉しかったです。そして、一生忘れられない楽しい思い出もたくさんできました。
 こんなに素晴らしく、温かい人々とたくさんの友達の中で過ごせた事はとても幸せだと思います。しかし、いつか、この学校を卒業する日が来ます。それでも、私にできる事があるのならば、協力していきたいです。
 現在の私がいるのも、村、学校、先生、家族の支え、応援があったからこそです。心から感謝しています。
「ありがとうございます!」
(コロニア・ピニャール日本語モデル校。16歳)