太鼓協会=熱気帯びた和太鼓技能検定=日本から渡辺、小川氏が審査に

ニッケイ新聞 2011年1月22日付け

 ブラジル太鼓協会主催の第6回技能検定試験が1月18日から20日まで3日間、ジャグアレーのCEU(Centro Educacional Unificado、サンパウロ市立教育総合センター)で実施された。
 その審査の為、渡辺洋一先生、小川ひろみ先生が日本財団と日本太鼓協会から派遣され、1月16日に来伯した。すでにブラジルで太鼓の指導をしているJICAシニアの蓑輪敏泰先生と共に指導、試験の審査にあたる。
 渡辺先生は10歳から太鼓を始め42年のキャリアがあり、来伯は今回で9回目。その内2回「天邪鬼」のグループを引き連れてブラジル公演をし好評だった事は多くの太鼓ファンの記憶に残っている。
 ジャグアレーを皮切りに、ポンタ・グロッサ、グアイーラで講習、試験が行われるが、今回のブラジルでの技能検定試験の申込者は1級が1人、2級が23人、3級が17人、4級が61人、5級が99人となっている。ジャグアレーでは18の町(サンミゲル・パウリスタ、イタケーラ、カッポン・ボニート、オザスコ、アルジャー、ピエダーデ、レジストロ、サンパウロ、サンジョゼ・ドス・カンポス、サンミゲル・アルカンジョ、サンヴィセンテ、パラナヴァイ、ジュンジアイ、ピラール・ド スール、リオ、ロンドリーナ、クリチーバ、スザノ)から参加している。
 ジャグアレーで試験を受けた4級40人、5級67人全員が合格した。受験者の中では実技で1回目は合格せず、2回目で合格した人が10数人もいた。合格を知り受験者の顔がほころんだ。
 国吉フェルナンドさんは、今回1級の試験を受ける為ロンドリーナから唯一人でやってきた。彼は2006年と2007年、2年間に日本財団の「太鼓留学生」として日本に渡り、太鼓を舞台でのショーとして始めた小口大八先生の指導を受けたり、太鼓の作り方等も勉強したと言う。長野県の岡谷市で2級の試験に挑戦、見事合格した。そして今回1級に挑戦する。
 渡辺先生の話に依ると、多分3万の太鼓チームが有ると予想される日本でも1級の指導者は41人を数えるのみだと言う。1級合格は、「狭き門」である。
 今回の受験者の中に、5級に挑戦したアルジャーカントリークラブの非日系人ペドロ・イズマエルさん(54)の姿があった。太鼓歴は3年で、何故試験を受けに来たのか聞くと「私は太鼓が大好きです。太鼓の音を聞いていると心に響くんです。ジッとしていられなくて、そして勇気が沸いてくるんです」と言う言葉が返ってきた。
 受験者の約95パーセントが青少年であるが、その中には非日系人の少年少女の姿も見受けられた。日本の伝統文化「太鼓」がブラジルの国に広がりつつある事が感じられる。島田オルランド伯太鼓協会会長と前会長の矢野ペードロさんは「日本財団、日本太鼓協会、そして懇親的に指導と検定試験をして下さる先生方のお陰でブラジルの子供達の太鼓の技術が年々向上してしているのを目の当たりにして感謝の気持ちで一杯です」と口を揃える。
 渡辺先生、小川先生はポンタ・グロッサ(22〜24日)、グアイーラ(27〜29日)へと続く強行スケジュールを終えて2月2日、日本へ帰国することになっている。(金子国栄さん通信)