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サ短歌会=『光源都市』第6巻出る=月例会500回を記念

ニッケイ新聞 2011年2月4日付け

 サンパウロ短歌会が月例会を50回重ねるごとに出してきた合同歌集『光源都市』の第6巻が先ごろ刊行された。250回を機に第1巻が出され、今回は記念すべき500回(昨年10月)までの50回分をまとめた。
 「序に代えて」の中で安良田済(すむ)さんは合同歌集の刊行は「ひとつの句読点をうつこと」と定義し、自他を照らす「光源都市」という名称は肩をはった自負心の強いものだが、「かつて共に議論をし研鑚に励んだ多くの亡くなった歌友たちを偲ぶと、我々は乏しくなった灯を消すわけにはいかず、自らを鼓舞するためにも、改名するわけにはいかないのである」との決意を述べる。
 「夫はもう更新止めしかパスポートこれを最後とわが申請す」(小池みさ子)、「息のみて朽ちし倉庫を眺むれば半世紀前の移民の列が」(新井知里)、「さまざまな人種集える早朝のラジオ体操心は一つ」(立花操)などの秀作が勢ぞろい。
 1987年の第1巻では作品参加者は62人いたが、現在では32人に減少し、平均年齢は82歳という。
 編集あとがきで小野寺郁子さんは「この歌集は、高齢になっても、少人数になろうとも、短歌というもっとも日本人らしい叙情詩を裡に培っている人達の、作品の巧拙を超えた熱意と愛重の結晶というほかありません。異国において短歌の最後の灯を守る者達の誇りと言ってもよいでしょう」と締め括っている。

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