コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年2月11日付け

 安値の中国製品に席巻される当地の国内製品についての批判的な7chのニュースを見ていたら、その象徴としてブラジルの守護神アパレシーダを模った20センチほどの石膏像の裏に「Made in China」と書いてあるのを大写しにし、アナウンサーは「中国製のアパレシーダにお祈りしてご利益があると思いますか?」とコメントしていたのには驚いた▼普段はあまりナショナリズム発揚の場面を見ることは少ないが、ことサッカーとキリスト教に関しては実に保守的な意見が堂々とテレビで流される。思えば、日本の仏壇は中国やアジア製がかなり多くなっていると聞くが、日本のテレビのアナウンサーが「中国製の仏壇に拝んでご先祖様が喜びますか?」と堂々とコメントすることはあるのだろうか▼最近の英国BBCでは「世界においてブラジルの専売特許だったビキニにおいてすら、ブラジルの海岸でも中国製のビキニが当たり前に見られるようになり、通貨戦争ならぬ〃ビキニ戦争〃の様相を呈している」と皮肉られていたとの記事を読んだ▼ビキニを作るのは技術的にさほど難しいものではないだろうし、中国が本気でコピーしようと思えば、ブラジル製よりもよほど上質な縫製のものが出回ってもおかしくないが、ブラジル男性の沽券ならぬ〃股間〃はどう反応するのか▼中国が鉄鉱石や大豆の最大の輸出先だから、同国製品の輸入増にもブラジル政府としては強いことが言えないらしい。ジウマ大統領の初アジア訪問も日本よりも中国が最優先との話も。そのうち聖書やサッカーブラジル代表のユニホームも中国製?!との話まで聞こえそうな勢いだ。(深)