■ひとマチ点描■氷のなる木!?

ニッケイ新聞 2011年4月9日付け

 街路樹から毎日水が垂れてくる。何かと思ったら氷ができていた—。サンパウロ市の住宅街でこんな木が見つかり、近所の話題になっている。
 この不思議な木は、ジャバクアラ区に住む野田正登さん(80)、美貴枝さん(76)宅の前にある街路樹。1カ月ほど前から木の下のアスファルトに水が垂れるようになり、7日朝に気がついた時、5メートルほどの高さにある枝や葉にびっしりと氷のようなものがついていたという。
 「道路の下を通る水道管が壊れたかと思っていたんでけどね。今朝訪ねてきた姪の婿が見つけて、『氷だ』って」と野田さん。木の名前は知らないが、黄色い花が咲き、長い鞘豆のような実がぶらさがるものだ。
 プロミッソン生まれ、59年からこの家に住む野田さんは、長年サンパウロ総領事館に勤め定年退職。15年前にこの木を植えたが、こんなことはもちろん初めてだ。半年ほど前に車が木にぶつかって皮が大きく剥け、「もう花は咲かないかと思っていた」が、「今年も咲いてくれた」と目を細める。
 記者が訪問した7日午後1時ごろでも、強い日差しの下で氷はしっかりと残り、落ちた滴が道路をぬらしている。「こんな住宅地で、不思議ですね」と野田夫妻は笑顔で首を傾げていた。(ま)

写真=不思議な木の前で野田夫妻(上)/枝や葉にびっしりと付いた氷のようなもの。このほかにも2カ所で同様の現象が起きていた