コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年4月19日付け

 近頃の日本の野菜は、呼び方が難しくてさっぱり解らない。あの福島原発の放射能漏れが、お空に流れ雨が降ると農地に染み込み、野菜などが危険な食べ物になるのだそうな。そこで政府と県庁などが消費者の健康を危惧して「出荷停止」を命じたときの野菜の名前が、ブラジルに長いこともあってかチンプンカンプンなのである▼3月は季節的に言えば、ほうれん草や春菊などが主なものだろうが、カタカナ名なのは、さてどんな野菜なのだろうと首を傾げるばかり。まあ、中国や韓国も近いから—多分、あの国々のものらしいと見当をつけたりしてみるのだが、どうも余り正確とは云えない。先週の末に「政府、栃木県産カキナの出荷停止を解除」とスーパーのイオンが「サンチュ販売」の共同通信電もあったが、さあ、これが意味不明で解らない▼カキナは、日本の伝統的なもので「かき菜」と呼び、茎から欠き取り収穫するのでこの名が付いたという。葉っぱを辛し和えやおひたしにて食べるそうだが、ブラジルのコーベマンテイガに似たようなものではないか。尤も、日本には「ケール」があり、カキナに近いの意見もあるが、遯は食べたことがない。さて—「サンチュ」だが、これは韓国のものでレタスの一種なのだそうだ▼あの名物の「焼肉」の肉を包むもので韓国では欠かせない。レタスは催眠促進の効果が高く伝統的な薬なので韓国では、仕事前のドライバーが食べてはいけないとされる。それはまあ、牛肉を腹いっぱいに食べて「サンチュ」で眠くなったのでは、危険このうえない。やはり、諺は大切にーである。(遯)