コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年4月30日付け

 29日の朝、TVでロンドンのウエストミンスター寺院での結婚式を観る。近衛兵の赤い制服のウイリアム王子と真っ白なウエデイングドレスのキャサリン妃殿下の紅と白がなんとも素晴らしい。あのTV放映は、世界で20億人が楽しむだろうとされるが、エリザベス女王を始めロンドンっ子をも飛び越える世界の慶事となったのは喜ばしい▼挙式には、オランダやノルウエーの王室らが招かれたが、大震災のため皇太子は参列を見合わせた。英国の王室も、ダイアナ元妃殿下の離婚と死亡事故などがあり、かってのような強い存在感は薄れている。一部にはチャールズ皇太子ではなくウイリアム王子に王位を継がせるべきだとの意見も根強い。王位継承についても、これまでの男系優位から女性であっても長子を選ぶという改革案もあり英王室の話題は尽きない▼このように王室を取り囲む状況は厳しいけれども、国民の大多数は、お二人の結婚に拍手を贈り、諸手を上げて賛成している。なにしろ、英王子が貴族ではなく一般家庭の人と華燭の典を挙げるのは350年ぶりであり、キャサリン妃殿下の祖先が炭鉱で働いていたので「炭鉱から王室へ」が報道され、この辺りにも人気の秘密があるらしい▼ダイアナ元妃も乗ったあの4頭立ての馬車でお二人はバッキンガム宮殿に向かったが、100万人を超える観衆が手を上げて歓迎し、心からの祝福を贈った。ウイリアム王子は、ダイアナ元妃の形見であるサフアイアの指輪をキャサリン妃殿下にプレゼントしたが、これも母と妻となる人への想いのシンボルと見たい。(遯)