日本人植民地発祥の地イグアッペ=再来年の入植百年に向け=3市で記念事業を計画中

ニッケイ新聞 2011年5月20日付け

 ブラジル最初の日本人植民地として開設されたサンパウロ州イグアッペ植民地が2013年で入植100周年を迎える。地域の中心地レジストロとイグアッペ、セッテ・バラスの3市が合同で準備を進めており、少しずつ記念事業の概要がまとまりつつあるようだ。「日本人植民地発祥の地」(Berco da Colonizacao Japonesa no Brasil)と呼ばれるイグアッペ。これが、地方の日系社会が自分たちの入植一世紀を祝う初めてのケースとなる。山村敏明実行委員長は「先輩としてしっかりやりたい」と意気込みを語った。

 桂、セッテ・バラス、ジュキア、レジストロからなったイグアッペ植民地。その第1陣30家族が1913年に最初の植民地、桂へ入植した。レジストロは地域の中心として発展し、現在の人口は約5万5千人。レジストロには約1400、イグアッペ、セッテ・バラスにはそれぞれ約100の日系家族が住む。
 入植100周年実行委員会は昨年7月にレジストロで発足し、「最初は一つの郡。原点に戻って」(山村委員長)と、イグアッペ、セッテ・バラスと記念行事・事業の検討を進めている。
 一世紀の節目を2年後に控え、「近づいてきた感じがする」と山村委員長。第2副委員長の金子国栄さん(レジストロ文協会長)も「2年はすぐに来る」と強調する。
 記念式典は10月ごろが見込まれているが、今後レジストロ市の姉妹都市、岐阜県中津川市と調整しながら決める予定という。
 山村委員長によれば、今回は2008年のブラジル日本移民百周年の時のようなモニュメント建設などは行わず、各地で記念事業を計画中。今月16日の委員会会合で全体の輪郭が見えてきたようだ。
 レジストロでは老朽化したベースボール・クラブ(RBBC)の会館を全面改修するほか、同地文協会館を増築して地下室や台所、日本語学校の教室などを整備する。また、市警の建物を日本風に改築するプロジェクトもあるという。
 セッテ・バラスでは築55年以上になるという現会館に代わり、新しい会館を建設する計画を立てている。イグアッペでも会館の増築を検討しているという。「今回は実用ということで、自分たちの使っているものを整備したい」と山村委員長は説明する。
 委員会では記念誌および記念アルバムの製作なども企画。また、13年に約1000人が出場する全伯卓球大会をレジストロで開催する方向で検討が進められている。聖南西の各日系団体も協力の意向を見せているそうだ。
 「地方で一番はじめに100周年を迎えるのがレジストロ。100年経ってもやっているという意気込みを見せたい。先輩としてしっかりやらないと」と力を込める山村委員長。「地元日系人の歴史は、町の歴史と密着している。移民100周年の時よりもっと盛り上がると思う。かつて住んだことのある人にも呼びかけて盛り上げていきたい」と語った。