コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年6月11日付け

 日本も、夢の超高速鉄道の時代に突入する。大島国交相が、リニア鉄道建設を指示し、JR東海では、時速500キロのリニア新幹線で「東京〜大阪を67分で結ぶ」と語る。南アルプスを貫通する巨大プロジェクトであり、予算も9兆300億円と大きく、この3大都市を貫く大動脈によって文化や経済など広範な交流が起き、日本の国は政治も社会も抜本的にかわる▼これは、東京オリンピックのあった1964年10月に開通した東京〜大阪新幹線の影響を見れば、よく解かる。国鉄総裁・十河信二氏が、旧満州鉄道の「弾丸鉄道」を支えた島秀夫氏を技師長として招き建設に踏み切った。予算は3800億円、世銀から借款もした。時速200キロの高速で走り、日本をいや世界の人々から拍手喝采を浴びたのである▼その速い列車も今や時速300キロになり、日1日と列島は狭くなっている。だが、日本のリニア鉄道は試験走行で時速581キロの記録があり、これは世界で1番速い。この猛スピードで東京〜大阪を突っ走るのだから—これはまさしく「夢」である。ちょっと古い話になるが、日本の鉄道は1950年頃まで1時間に100キロにもならなかった。勿論、蒸気機関車が煙を吐いて石炭を燃やして走るのだから速度は遅い▼当時、欧米では150キロほどであり—その意味では日本は鉄道後進国だったが、その後に電化が進み新幹線になったの歴史も忘れまい。そして—時速500キロのリニア(磁気浮上式鉄道)という地上に浮いて走る時代が到来するのだから何とも楽しい—と胸を膨らませている。(遯)