レジストロ=移民家屋を視察し感動=米田さん模型作成講座開く=「文化財保護意識高めたい」

ニッケイ新聞 2011年7月1日付け

 6月25日、26日の両日、米田誠士さん(63、よねだ・せいじ)はレジストロの文協会館で模型(マケッテ)作成のワークショップを開催し、参加者15人が手ほどきを受けた。会場には米田さん作成の模型の法隆寺、農家、柱や作成中のカザロン・デ・シャー(お茶屋敷)が展示されてあった。

 米田さんは兵庫県の出身で国際交流基金の支援で現在サンパウロ市近郊にあるモジ・ダス・クルーゼス市のカザロン・デ・シャーのマケッテを作成中で8月完成を目指している。
 米田さんが最初に来伯したのは10年の5月から8月までで、今回は2回目で5月に来て、来年の4月までブラジルに滞在する。米田さんは幼少の頃から模型作りが好きだった。15歳の頃、友達がプラモデルで飛行機や軍艦を作る中、古い神社仏閣のマケッテ作りに熱中した。子供心にも日本の文化財に深く感銘したと言う。
 長年、医療用器製造会社の技術者や管理職として働いたが2年前に定年退職し、模型作りに没頭できる幸せを噛み締めていると言う。「女房も食事も忘れて模型作りに熱中している」と笑う。
 中学生の頃から奈良、京都を中心に旅行し、大人になってからも日本の文化財所在地のリストを作り週末や連休に日本各地を回ったと言う。
 そして「古建築模型の作り方」と言う立派な著書を出版している。50歳の時、技術者として人間国宝に認定された和田安弘さん(わだ・やすひろ、宮大工から模型作り専門の巨匠となった)を知り教えてもらった。
 米田さんは、ブラジル連邦歴史文化遺産院から歴史文化財として認定されたレジストロの移民初期の農村家屋を見て回ったが、「レジストロの田園地帯で移民として苦労された方々の滲んだ汗が感じられる様な思いで感動しました」と感想を述べた。
 「私はモジ・ダス・クルーゼスのカザロン・デ・シャーの模型を通して文化活動の一端として文化財保護意識を高め、支援の啓蒙に尽くしている心算です」とも語った。
 モジからは建築士の肱岡(ひじおか)明美さん、陶芸家の中谷優樹(ゆうき)さんが同行し通訳を務めた。(金子国栄さん通信)