長野県人会=「今年は柔らかく出来た」=郷土自慢の味、野沢菜=日本祭りで好評販売!=350キロを漬け込み

ニッケイ新聞 2011年7月13日付け

 今週末に開催される『フェスティバル・ド・ジャポン』(日本祭り)で長野県人会が毎年販売、人気の高い「野沢菜漬け」。今年もその漬け込み作業がビリチバ・ミリン市の北澤重喜会長(80)の農場で行われた。苗の植え付けから収穫まで2カ月弱、10数人で今年は約350キロを漬け込んだ。手間暇かけられた県人会自慢の味は、700袋余りがバンカ(郷土食広場6番)に並ぶ。

 「今年は柔らかく出来ました」。約500平米の面積に、びっしりと成長した鮮やかな美しい黄緑色の野沢菜を見やり、北澤会長は満面の笑みを見せた。
 親戚が住む野沢温泉村から持ち込んだ種で苗を育てる。生育に60日間かけた昨年、「少々硬い」との声を受け、収穫時期を早めたのが功を奏した。
 「気温が23度を超えるとダメ。基本的に寒い方が良いものができるが、日光も必要。難しいですよ」と苦労を語る。
 取材した11日、漬け込み作業は朝から、北澤一家と同県人会モジ支部の10数人によって行なわれた。
 男性陣が収穫した野沢菜を、女性陣が水洗いで土を落とす。すぐに漬けないと葉が黄色くなるため、この工程は実に手際よく行なわれる。
 別のたらいでゆすいだ後、北澤会長の息子アウグストさん、嫁チカさんが隙間なく容器に詰め込み、塩で漬け込んでいく。何層にも重なった塩と野沢菜の上に、野沢菜の重さの3倍にあたる重石を置く。
 この状態で2日間。よく水が出たところで絞り、妻アキエさんの味付けで本漬けとなる。自慢の味の秘訣を聞くと、「秘密です」と素敵な笑顔が返ってきた。
 日本祭り開催初日の金曜日の朝に袋詰めされ、日本祭りの会場に運ばれる。今年は600グラムを700袋余り、約350キロを用意した。
 数年ぶりに作業を手伝ったという笹井静代さん(78)、真由美さん(44)母娘は、「慣れないので腰が痛い」と笑いながらも充実した表情を見せていた。
 すでに漬けられた野沢菜を記者も頂いた。シャキシャキとした歯ごたえに良く効いた塩味。白いごはんはもちろん、お酒のつまみにも最適の一品だ。
 北澤会長は、「野沢菜漬けは手間がかかるが、みんなが喜んで来てくれる」と、嬉しそうな表情で話し、「食物繊維が豊富で、便秘に良いですよ。是非長野県人会のバンカに寄ってください」としっかりアピールしていた。