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パラナ州アプカラナ市=ブラジル最大規模の心臓病院=バチスタ財団が建設中=「今年中の完成目指す」=徳州会が1千万ドル寄付

ニッケイ新聞 2011年7月16日付け

 心臓移植の代替治療「バチスタ手術」を考案した心臓外科医、ランダス・バチスタ氏(65)が設立したヴィレーラ・バチスタ財団が09年8月から、パラナ州アプカラナ市のアプカラナ文化体育協会(石田健一会長)敷地内で、心臓外科病院「オスピタル・トクダ・ブラジル」の建設を進めている。総工費は、医療法人・徳洲会(徳田虎雄理事長)が1千万ドルを寄付。同市民が完成を心待ちにする中、外観は既にほぼ完成し、内装と設備を残すのみとなっており、ランダス医師は「今年中には完成させたい」と意気込んでいる。

 同文協が99年間無償で土地を提供した。ランダス医師は建設会社を入れず自ら陣頭指揮を取り、施工管理に専念する日々を送っている。
 同病院は、文協が野球場に使用していた2万平方メートルの敷地に、1階建てで建設されている。広い湖に面し、受付からの見晴らしは壮観で、自然に囲まれた気持ちの良い場所だ。
 同医師によると、病院は150床を有し、心臓専門病院としては国内最大規模となる。またアプカラナ市に病院は一つしかなく、心臓外科は入っていないため、住民の期待は大きいという。
 徹底した〃省エネルギー、低コスト〃での経営を目指す。各部屋の天井近くに窓を作ることで熱気を逃がし、エアコンは使わない。自動ドアを使わず、勝手に閉まるドアを考案するなど、こだわりが随所に伺える。
 バチスタ手術は90年代、心臓移植以外に助かる方法はないとされる難病「特発性拡張型心筋症」患者への新しい外科的治療として注目を集め、各国で試みられてきた。日本では96年、徳州会グループの湘南鎌倉総合病院で初めて実施されている。
 ロンドリーナ市出身の同医師は、「日系社会を身近に感じて育った」と話す。徳田理事長とは長年の友人で、病院設立の話は約10年前に持ち上がったという。
 以来、定期的に日本を訪れ、若手医師に講演を行うなどの交流が続いている。「貧しい人のために美しく、機能的な病院にすることが自分の願いだ」と力を込めた。

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