勇気ある政治の大先達=元サンパウロ州議 下本八郎

ニッケイ新聞 2011年7月23日付け

 神の御許に旅立たれた大先輩、田村幸重氏に心からの深い敬意を表します。
 田村さんは私の第一子マルシオ・マサオの名付け親でした。また、政治においては多大なるご鞭撻を受けたことを大変名誉に思っております。
 私が政治家を志した時、まっさきに田村氏に相談に行き、その場で真摯な相談をしてくれ、気がついたら早朝3時になっていたことがありました。新婚でしたため、妻ちえこが心配して、近所の家で泣いていたこともありました。
 彼は私を社会的、政治的イベントに招いたものでした。結婚式や講演会に参加する田村氏を私の自家用車で運んだとき、彼の運転手を務めているだけで私の胸は誇りでいっぱいでした。
 彼がどうしても旅行に行く必要があったある日、私がその代理としてアブレウ・ソドレ知事の間接選挙に投票したこともありました。
 田村氏は教養ある市民として日ポ両語に精通しており、どのような大衆に対しても、すばらしい講演会をしていました。
 勇気ある政治家として、盟友のマルシオ・モレイラ・アルヴェス議員を守るため、10年間政治家としての職務を剥奪されたことすら恐れませんでした。そして連邦議員や日系社会から賞賛を浴びました。
 尊厳、徳性、誠実、信仰心や良き慣習など、国家に多くの恩恵をもたらした田村氏とその業績を知らないものはおりません。