外務大臣表彰発表=サンパウロ管内から2人=坂尾英矩、白石一資氏=本紙に喜びの声寄せる

ニッケイ新聞 2011年7月26日付け

 日本国外務省は、2011年度外務大臣表彰の受賞者を発表した。在サンパウロ日本国総領事館の管内からは、坂尾英矩さん(80、サンパウロ市在住)と白石一資さん(76、二世、アラサツーバ市在住)の2人が選ばれた。
 日本でのブラジル音楽普及に尽力した神奈川県横浜市出身の坂尾さんは、「大変嬉しいです。これからも両国の文化交流に貢献していきたい」と喜びを語った。
 日本大学国際研究所を経て56年に来伯。ラジオ・ジフゾーラのアナウンサーやテレビ番組「イマージェンス・ド・ジャポン」音楽ディレクターなどに従事した。
 アントニオ・カルロス・ジョビン、ジョアン・ジルベルトなど数多くの著名音楽家と親交を深めたことで知られる。
 72年から24年間、サンパウロ総領事館広報文化班に勤務する傍ら、日本に音楽家を招待しブラジル音楽普及に努めた。
 『ボサノーバ詩大全』『情熱のリオ』など3冊の著作があり、コマーシャル音楽の作詞作曲も手掛けた。現在は映像プロダクション顧問。神奈川県人海外功労者章も受賞している。
 「〃ブラジルの美空ひばり〃と呼ばれたエリゼッチ・カルドーゾの日本公演についていったことが一番の思い出。他にも数え切れないほどあるよ」と音楽への愛情を語った。
 白石さんは、〃移民のふるさと〃であるノロエステで日伯相互理解の促進に貢献してきた。
 アラサツーバ日伯文化協会会長を6年間、30の文協が加盟するノロエステ連合日伯文化協会会長は、今年で就任8年目となる。
 「日本語こそ文化の根幹、アイデンティティの源。何とか後世に残したい」という信念のもと、二世、三世も読めるようにと、百周年の折に『ノロエステ記念史』を日ポ両語振り仮名つきで刊行した。
 12歳の時父に強く勧められ、今でもニッケイ新聞を読むのを日課にし、家庭、文協での会議も日本語を通す。
 「一度止めたらそれきりになる。200年祭まで日本語が継承されてほしい」
 白石さんは、「一人では何も出来なかった。皆さんのおかげで、苦労された初期の移民や日系社会の皆さんに恩返しが出来た」と喜び、「誰かが推薦してくれたのは身に余る光栄です。これからも社会に貢献し続けて行きたい」と志高く語った。