コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2011年8月2日付け

 「お世話になっている」という日本語は、ポルトガル語にどう翻訳できるだろうか。
 第二アリアンサ鳥取村の入植85周年記念式典で、生まれて、あるいは幼い頃来伯して以来、同地に住む男性2人は、「ずっとここに住んでいます」ではなく、「ここでお世話になっています」と話した。周囲を強く意識する日本人らしい表現だと思う。ブラジル文化には無い概念だろう。
 「世話に〜」という表現からは、一から日本人だけで作られた村に住む者の誇りや、村人同士の結びつきの強さを感じられ、「周りから生かされている」という意味が含まれていると感じた。
 その一方で、この言葉は自分の生れた故郷に対しては使わない気がする。一世にとって異国の土は何十年経っても気のおけない〃故郷〃にはならない、そんなニュアンスも含まれているのかもと感じた。(詩)