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増田恆河生誕100周年=記念の作品集を刊行=「侘び、寂びをポ語で」

ニッケイ新聞 2011年8月13日付け

 ポ語俳句の普及に努めた増田恆河さん(ごうが、本名=秀一、1911—08年、香川県)の3回忌と生誕100周年を記念して9日晩、サンパウロ市リベルダーデ区の佛心寺で法要が行われた。その後、グレミオ・イペー・デ・ハイカイ(井浦賢治エジソン代表)により、小田輝子編著の作品集『Goga e Haicai – Um Sonho Brasileiro』(Escrituras出版)の刊行記念会も催され、集まった約100人が故人の遺徳を偲んだ。

 最初は本堂で半田慈照(じしょう)師により、般若心経や修証義などが唱えられ、参加者が焼香の列に並んだ。法話では「現世はすべての一瞬が通過点であり、単純さを極めようとする俳諧の考え方は、禅と共通する」などと説いた。すぐに新会館の大鑑閣に会場を移し刊行記念会になった。
 井浦代表(48、三世)は、「増田先生は〃ポ語俳句の父〃といえる。一世紀前に生れ、ブラジル人の俳諧のセンスを〃開拓〃した」と顕彰した。編著者の小田さんも挨拶で「何度も会議を開き朝まで議論したこともあった」と語り、協力した編纂委員を前に呼んで感謝した。
 増田さんの指導のもと1987年に創立されたイペーは毎月句会を開いている。同様のポ語句会がパラナ州に4団体、リオ市に2団体、サントス市にも1団体あり、イッペーと合わせて計300人ほどいるという。「ポ語俳句が始められた意義は大きい。おかげでこれだけ日本文化愛好者が広まった」と故人の業績を称賛した。
 1929年に渡伯した増田さんは33年からエメボイ農業試験場で勉強し、自己流で作句をしていたが25歳の時に、俳句界の先駆者・佐藤念腹さんに出会い、正式な指導を受けるようになる。
 息子の増田煕一郎さん(きいちろう、73、二世)=ミナス州在住=は、「父が戦後パウリスタ新聞で記者をしている時に、日伯文化連盟の会長だったギリェルメ・デ・アルメイダやジョルジ・フォンセッカ・ジュニオルなどのブラジルを代表する有名詩人に出会い、エメボイ仕込みのたっしゃなポ語で俳句談義を交わしたことから、ポ語俳諧への道が開けました」と説明する。「父の怒った姿を見たことがない。いつも優しくてとてもリベラルな人でした」と振り返る。
 「恆河さんと一緒に念腹先生から俳句を習った」という杉本絃一さん(げんいち、86、山口)は、「恆河さんはいつもこう言っていた。ブラジルの日本語は一世と共にいつかなくなる。でもポルトガル語に日本文化の侘び寂びを移せば、ブラジルが続く限りなくならない。譬え日本語の意味の70%しか伝わらなくても、残った方が良い、と」とのべ、半分を非日系が占める会場の光景をしみじみ眺めた。
 「先にやっていた甥に誘われて始めた」という俳句歴3年の非日系スマイア・サヤジさん(42)は、「俳句の美しさは格別。感情を込めずに自然を詠むスタイルは、ブラジルの詩とはまったく違うと思う」とポ語俳句の特徴を称えた。

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