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懐かしい面々と語り合う=61年8月14日着=ブラジル丸同船者会=25人が笑顔で集い

ニッケイ新聞 2011年8月20日付け

 「同じ船で今度は日本に行ってみたい」—。61年8月14日にサントス港へ到着した日本移民船『ぶらじる丸』の50周年記念同船者会が14日にレストラン「ニュー美松」で開かれた。乗船者やその家族など25人が参加し、船上での思い出や当地での生活を振り返り、昔話に花が咲いた。

 「50年の苦労も皆で振り返れば笑い話に変わる。これまでのことを語り合いましょう」と発起人の小野祥子さん(75、東京)の司会で開始。船内新聞「アンテナ」のコピーが配られ、自己紹介が行われた。
 「易者に見てもらったら『海外に出て金持ちになる相がある』と言われて」と乗船の経緯を語るのはソロカバ市で農業を続ける原崎三郎さん(75、鹿児島)。
 「実際は貧乏で妻には苦労をかけた」と続けると、妻みきこさん(69、二世)は「苦労どころじゃないわよ。煙草、酒、博打ばかりで。私もよく辛抱できたわ」と笑顔で返した。
 「渡伯後しっかり働くため船室で筋トレをしていました」と小野幹夫さん(77、岩手)。隣で話を聞いていた佐々木光ミさん(77、宮城)は、「幹夫さんが歌う荒城の月がオペラみたいでうまかった。演芸会の秋田馬子唄も覚えてる」と肩を叩く。発起人で妻の佐々木夏代さん(72、宮城)は、「小野さん達と私達は新婚で同じ船室。薄いカーテンしか仕切りがなくて…苦労したわね」と意味深長な一言を添えた。
 ジャバクアラに住む茂木節子さん(66、青森)は、「花嫁移民が船内で取り合いになって。いきなり私達の部屋に逃げ込んできたんです」と驚きを語る。「今は4人の子供のうち2人が日本。震災後は被災地へ炊き出しに行ったようで、東北出身として感慨深いです」
 「当時6歳。船の舳先に行こうとしてよく移民監督に怒られました」と照れながら話すのはリオ州のフンシャル移住地から訪れた小松滋さん(56、北海道)。
 同船からは10家族が同移住地へ入植した。「親父は船内幼稚園の副園長。園長を兼務していた船長と毎日ウイスキー入りのカフェを飲んでいたようで、船酔いの母とぐったり寝ていました」とあきれ顔で話す。
 「僕が寝ていた船倉は斜めになっていた上、モーターが空回る音がうるさかった」と話す川本浩さん(62、岐阜)は、単独青年として乗船。「他にすることもなくて」と食堂で手伝っていた。
 マナウスで一昨年定年退職し、サンパウロ市で子供の家族と生活している。「早い半世紀でした。船で過ごした時間は秒針が動くような短さだけど、皆で集まれてよかった」としみじみ頷いていた。
 あっという間に4時間が過ぎ、「年齢的に今回が最後と集まってみたけれど、まだまだ話し足りないね」と夏代さんがつぶやくと、「また年末に集まろう」「今度はカラオケでも」と、最後まで楽しげな会話が飛び交っていた。

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