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人文研=将来見据えシンポジウム開く=「遅まきながら前進を」=各分野の多様な意見聞く

ニッケイ新聞 2011年8月25日付け

 今後、人文研はどうすれば生き残れるか—。サンパウロ人文科学研究所(本山省三理事長)が主催するシンポジウム『人文研を考える』が18日午後6時半から、約2時間にわたって文協ビルの会議室で行われ、パネリストを含め約40人が参加した。

 パネリストはブラジル日本都道府県人会連合会会長の園田昭憲氏、通訳・翻訳家の久保ルシオ氏、ブラジル三菱重工業社所長の西岡信之氏の3人、司会は鈴木正威所長が務めた。
 冒頭、本山理事長は「人文研は岐路に立っている。新しい人文研を作るため、外部からの識者の意見を聞きたい」と開催の動機を話した。
 園田氏は「コロニアの多くの団体が過渡期にある。ここで生まれ育った二世の見識を生かすべき。人文研は団体として非常に特殊であり、コロニアに無くてはならない」との認識を示した。
 久保氏は、「研究の蓄積が生かされていない。元研究者、現在の研究者の繋がりが浅い、知名度が低い、幹部の交流範囲が狭い」などと課題を指摘、「日本語での研究という前提を覆すべきでは」とのべた。
 「興味はあっても入りにくいという非日系人もいる」ことから、具体的な提案として、子供向けの行事開催、ウェブサイトへの投資と広報活動の活発化を挙げた。
 西岡氏は、「近年は、ブラジルだけでなく米国日系人の間でもルーツを辿ることがブーム。史料館や人文研の存在は重要」との考えを示した。
 また人文研についての知識は十分ではないと前置きした上で、「企業は何か問題があったときに判断の根拠となるような理念が不可欠。今ある活動をベースにするのではなく、議論して浮かび上がる理念に基づいて活動を見直してはどうか」と提案した。
 その例として、人文研が09年から始めた奨学生制度について触れ、「優秀な奨学生や外部の人を組織に取り込むこと、あるいは日系文化の変遷を記録するという理念ならそれも一つではないか」と付け加えた。
 これらの意見に対し辻哲三監査役は、「問題は山積している。貴重な意見を真摯に受け止め、役員会で打ち合わせを行い、然るべき形で打開策を出したい」。
 鈴木所長は、「日ポ両語に堪能な若い人材をどのように取り入れるか、ブラジル社会にどのように融合していくのかが大きな課題。これまでのように日本から研究者を招くだけではなく、日系人、ブラジル人両方の研究者を育てたい」と決意を語った。
 一般来場者からは、ブラジル・ニッポン移住者協会の小山昭朗会長が、「人文研はもともと素晴らしい研究機関だが、経営と研究を分けるべき。研究のためだと割り切り、資金集めのプロジェクトを立ち上げてはどうか。お金が集まれば自然と人も集まる」と話していた。

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