会議所昼食会=日伯貿易「活性化せず」=フィーリョ局長が講演=援協=人間ドックなど紹介

ニッケイ新聞 2011年8月26日付け

 ブラジル日本商工会議所(近藤正樹会頭)が主催する8月定例懇親昼食会が12日、サンパウロ市のブッフェ・コロニアルで行われ、特別講演者として貿易審議会(Camara do Comercio Exterior、CAMEX)のエミリオ・ガロファロ・フィーリョ局長が「ブラジル貿易の勢い」について語った。その他、サンパウロ日伯援護協会の菊地義治会長、日本経団連国際協力本部の牧野賢作氏らが特別出席者として参加した。

 まずCAMEXのフィーリョ局長は「ブラジル貿易の勢い」と題して講演した。CAMEXは開発商工省が所轄、農務省など7つの省の代表で構成され、月に一度、貿易に関して会合を開いているという。
 日伯間の輸出入はここ数年変化がなく、貿易収支もバランスが取れているとしながらも「活性はしておらず、起爆剤がない」と同氏はのべた。ブラジルから日本への輸出は約3%で6位、鉄鉱石や鶏肉など第一次産品が主だと原状をのべ、「一昔前に比べると後退している」と釘を刺した。日本からの輸入は5位だが、こちらも近年減りつつあるという。
 それに対し、「中国からの輸入は前年と比べ14%増、韓国からの輸入は5%増で拡大している」とのべ、中国、韓国との貿易が盛んになっていることを強調した。
 その他出席者からの質問に対し、ブラジルはWTO加盟国のため関税を引き上げることができないものの、今後は見直される可能性があること、「政府がIOF(金融取引税)課税を市場レベルだけでなく企業間取引でも行う可能性がある」などという考えを示した。
 3分間スピーチでは菊地会長が、援協が実施する人間ドックと自閉症児療育プロジェクトについて紹介した。青空学級「PIPA」では、援協と児童の父兄が中心となり、薬物に頼らない新しい自閉症教育を行い、自立した社会で活躍できるような人材育成に取り組んでいることを説明。
 「自閉症はサンパウロでも年間5千〜1万人に発症し、PIPAで実践されている集団生活療法は注目を集めている」と理解を求めた。
 また、援協社会福祉センター2階で実施している人間ドックについて、「日系人の優秀な医師を揃え、日本語で説明が受けられる。日本の人間ドックよりも良いと好評頂いています」とアピール。「生活習慣予防になるので、ぜひ利用を」と呼びかけた。
 また、海外インターンシップを運営する学生団体「アイセック・ジャパン」東京大学委員会の田宮道尚さんが、活動の近況報告を行った。ブラジルでは現在、カワサキモータース・ド・ブラジルで2人が研修中、過去に公文、三菱商事で4人が研修を受けたと説明、参加者にプロジェクトの理解と協力を呼びかけた。