旧都で育むニッポン~ペトロポリス「BUNKA-SAI」~(3)=生け花、漫画、陶芸に熱い眼差し=震災支援の浄財も集まる

生け花のワークショップを担当した皆さん

生け花のワークショップを担当した皆さん

 午後からは、会場のラウル・デ・レオーニ文化センター内の展示を回った。開催期間中は盆栽、陶芸、こけしなどの各種展示のほか、様々なワークショップ、映画や演劇の上演が行われていた。
 メインはやはり、今回の文化祭のテーマ「ガンバレ!日本」の一環、震災関連の展示だ。毎日新聞社提供の被災地の写真60枚に加え、日本の領事館を通じて外務省から提供された写真が展示されていた。
 被災地の状況や原発の仕組み、岩手県庁による復興計画書の一部、地震のメカニズム、これまで世界で起きた大地震の概要などがポ語で説明され、110枚にわたるスライドを来場者らは真剣な面持ちで見入った。
 安見会長は、「写真を展示するだけでは、地震を知らないブラジル人にはピンとこない。関心の高い復興状況についても伝えたかった」と語る。
 被災者へのメッセージを書き込む模造紙も用意され、最終日までに15枚に上った。また義捐金箱も設置され、1471.70レが集まった。
 「日本の美学であるワビは、より純粋でシンプルな美、サビは時間の経過が生み出す美」と説明するのは、「日本の陶器」をテーマに講演したリジア・セバスティアニさん(49)。陶器の歴史や用途、哲学についても触れた。
 ろくろを用いず手で捏ねて形を作り、800〜1200度の高温で焼き上げる「楽焼」を行い、市内のアトリエで陶芸教室を開く。
 家が農場で小さい頃から土に親しみ、大学では美術を専攻した。日本から来ていた3人の陶芸家から学んだという。
 「日本の陶芸家は土地と融合、同化している。彼らの思想や哲学は、私が考えてきたことと全く同じなの」と熱を込めて語る。
 池坊清月流のワークショップも関心を集めた。生徒はほとんどが非日系。熱心に耳を傾けながら、楽しそうに生け花を楽しんでいたべラ・マリアさん(66)は、「とても楽しかった!他にも色々体験してみたい」と声を弾ませた。
 講師を務めたナイーデ・アンドラーデ・デ・カストロさん(63)は生け花歴12年。サンパウロ在住の日本人講師に教わった経験をもち、「アレンジが無数で、作品に人柄が現れるのが面白い」と魅力を語った。 市内絵画教室のコーナーでは、漫画やアニメのキャラクターを描いた作品が展示されていた。中にはフォトショップ(デジタル画像)で作られた本格的なものも。
 受付のルイス・フェルナンド・ソウザさん(18)は、「小さい頃からアニメを観ていた。物語が面白い。ドラゴンボールとナルトが好き」などと話しながら、自分の作品も照れながらも自慢気に紹介していた。(田中詩穂記者、つづく)