コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2011年8月31日付け

 ペトロポリス文化祭で上演された『老人の知恵』は、興味深かった。
 非日系人が着物や鬘を身に付け、それが不思議と板についていたり、日本の話が全編ポ語で演じられているにも関わらずなぜか違和感がなかった。それだけ演じる側が理解して演じているということなのかと感じた。
 一般に、日本では敬老精神が旺盛だと言われるが、皮肉なことに近年は電車で席を譲る人はむしろブラジルのほうが多いとよく見聞く。当地で「姥捨て山」がテーマに選ばれたこと自体、その傾向の表れかもしれない。
 日本の物語を独自に解釈し、元々なかったロマンスの要素を取り入れるなどしてわかりやすく伝えようという試みは、ブラジル人らしくもあり非常に好意的で、日本人としては喜んで然るべきだ。それだけに、在リオ総領事館が最初に取った対応は、どうしても理解に苦しむ。(詩)