那覇・サンビセンテ市=消防士の小谷良さん=研修、県系人との交流も

ニッケイ新聞 2011年9月23日付け

 サンビセンテ市と姉妹都市提携を結ぶ沖縄県那覇市から消防士の先月4日に来伯、消防に関する研修や県系人との交流などを行なう小谷良さん(41、沖縄市)が、同市職員の伊波正哲さん(56、石川市)と来社し、活動報告を行った。
 両市は姉妹提携した78年から毎年交互に市職員を派遣。以前は教職員が多かったが、交流の裾野を広げようと応募枠を拡大した。
 那覇市の消防本部で勤務している小谷さんは、消防士の人材育成について学ぶため消防署や消防学校を訪れ、両国の制度の差などを視察した。
 フランコ・ダ・ロッシャ市にある消防大学では、実際の火事や事故を想定した訓練を多く目にし、「マニュアルが徹底している日本に比べ、経験や現場の判断を重視しているのでは」と語る。 署内のリラックスした雰囲気に驚き、「日本では職場ストレスが増えているが、軽減策のヒントがあるかも」と話した。
 移民としてサンパウロ州で暮らし、01年に帰国した叔母からブラジルの話をよく聞いていたという。
 「ブラジルの国民性と沖縄の県民性は似ており、すぐに友達になれる。気候や濃い味付けの食事など共通点も多い」と感想を話す。
 週に2度は県人宅で夕食を囲み、那覇市に派遣されたサンビセンテ市職員の親睦会『那覇友人会』にも出席。先月末に催されたブラジル沖縄県人会85周年式典にも参加した。
 「ウチナーンチュのつながりは、国をこえても強い」と印象を話し、「多くの人にお世話になった。今度は僕が来月にある『世界のウチナーンチュ大会』に来る方々や、来年派遣されるビセンテ市職員をサポートしたい」と明るく語った。
 小谷さんは22日に帰国の途に就いた。