【祝 福博村入植80周年】高木醸造食品(有)=ブラジル全土に販売網展開

ニッケイ新聞 2011年10月22日付け

 高木醸造食品は1969年に設立され、たくあん、豆腐、かまぼこなど野菜、大豆、魚を原料とした日本特有の保存食を生産し、サンパウロ市内にあるCEAGESP(サンパウロ州保税・一般倉庫公社)に支店を持って、直接販売している。
 高木政親社長(たかき・まさちか、11代目酒造り、61歳)は1950年、長崎県島原で生まれた。酒造りの家で育った父の高木政明さん(第5代長崎県人会長=1984〜1987)は10代目酒造りとして満州で酒、しょう油、酢を造っていた。戦後、帰国して島原で官憲の目が厳しいなか酒を造り、1957年に7歳の政親さんら家族を連れて、オランダ船『ルイス号』でブラジルに移住、プロミッソン移住地の前田農場に入ってコーヒー栽培に従事した。1年半の契約を終え、1959年にイタケーラで酒造りを始め、1961年さらにリベロンピーレスに移り、ツヤマさんが造っていた酒『さくら』と合併し、『ふじさくら』の名で酒造し、ジャバクアラに在った料亭『青柳』に卸ろしていた。
 リベロンピーレス時代に祖母(おばあさん)がカンタレーラに在る中央市場の業者に頼まれて漬物(白と黄色のたくあん)を造り、CEASA(州食糧配給センター)に卸すようになった。
 1968年、福博村に来て、味噌をはじめ、福神漬け、大根の味噌漬け、きゅうりの味噌漬け、きゅうりの粕漬けなど商品を増やし、景気も良く3年で新車が買えた。1969年高木醸造食品を設立し、CEASAに直売店を開店して、初代社長の政明さんと政親さんが親子で販売に当たった。現在は政親社長の弟、正智さんが一手に販売を引き受けている。
 1982年に、ちくわ、かまぼこの生産を開始。
 1990年に、豆腐の生産に入った。
 市場は、北はベレン市、南はリオグランデドスール、さらにパラグアイにまで広がっている。パラグアイにはバスで、ベレンにはトラックで製品を輸送している。
 8年ほど前から、息子たちの時代に入り、1970年生まれのアレシャンドレ・ヒロシ・高木、ミドリ、明、カオリさんたちが経営に当たっている。
 高木政親社長は「将来は非日系ブラジル人が食べる漬物、例えばショウガの酢漬け(ガリ)などを販売したい」と新商品の開発に意欲を見せる。
◎高木政親氏の社会貢献
第15代福博村会会長=03年から07年まで務める。06年には福博村入植75周年記念祭典委員長を務めた。
スザノ・ロータリークラブ会長=1999年から2000年、05年から06年、08年から09年の3期、会長を務める。
 なお現在は、サンベルナルド市に本部を置く、スザノ、モジ、ポア地区の賞勲部の評議員、汎スザノ文化体育農事協会(ACEAS)の監査役を務めている。