レジストロ=水面に2500基の光=灯ろう流しに多数が来場=金子会長「先祖を考えるイベントに」

ニッケイ新聞 2011年11月4日付け

 ブラジルのお盆にあたる「死者の日」(Finados)にあわせて行なわれる『レジストロ灯ろう流し』が1、2日の両日に催され、約1万人(主催者発表)がベイラ・リオ広場に足を運んだ。57回目。追悼法要に加え、太鼓や盆踊り、食など日本文化を伝える地元に根付いたイベントに成長している。来場者は思い思いに楽しみながら、会場に面して流れるリベイラ川を照らす2500基の幽玄な光に見入っていた。レジストロベースボールクラブ、同地文協、同市、日蓮宗恵明寺の共催。

 「これ程大きな催しとは知らなかった。賑やかなほうが先祖も喜ぶかしら」—。
 近隣パリケーラ・アスー市から墓参りの帰りに初めて訪れた山本耕司(69、東京)、エレナ(62、二世)さん夫妻は、驚きながらも和やかな笑顔を見せた。
 かつて川幅も広く、水運が主な交通手段だったため水難事故が相次いだことから、56年に日蓮宗恵明寺の故・石本恵明氏が水難者追悼供養を始めた。そのさい「南無妙法蓮華教」の一文字ずつが書かれた7基が流されたことが始まり。
 死者の日にあわせたことから、水難犠牲者追悼、交通事故犠牲者、世界平和祈願、先没者追悼合同供養などを日蓮宗、生長の家、レジストロ本願寺、立正佼成会が宗派を超えた追悼法要を行なうことでも知られる。
 日本文化を広める催しとして地元に根付き、地域最大のイベントとして近隣の町から訪れる人も多い。
 2日午前には、奉納相撲として「第6回レジストロ相撲大会」があり、地元の子供やサンパウロ市からバスで訪れた選手たち約100人が出場。強い雨がテントを叩く音に負けないほど、選手を応援する歓声が響いた。
 食も人気。2日間を通して文協、リベイラ川沿岸日系団体連合会などが出店したバンカにはマンシューバの刺身やヤキソバ、天ぷらなどを求める行列ができていた。
 2日目の日没とともに、対岸から先祖の名や南無妙法蓮華経の文字が書かれた2500基の灯ろうが流された。来場者は川岸に移り、色とりどりの光に照らされる水面を見入っていた。
 レジストロに住む荒崎清一さん(82、二世)は「両親の墓参りの後は毎年ここに来ます。何を考えるでもなく、美しさにひかれてね」とつぶやいた。
 引き続き、和太鼓演奏や盆踊りなどで会場は盛り上がり、午後10時頃に打ち上げられた花火が閉幕を告げた。
 文協の金子国栄会長は「忙しいとばかりいう昨今だが、足を止めて先祖のことを考える時間が必要。その象徴としてこの催しを続けていきたい」と話していた。