にっけい文芸賞授賞式=日ポ語、漫画で10作品=故増田恆河氏の顕彰も

ニッケイ新聞 2011年11月19日付け

 日本語20、ポ語6、漫画5作品の応募があり、日本語部門では浜委員長、林まどか、鈴木雅夫、間島稲花水、梅崎嘉明、駒形秀雄、田口ルネ、久保ルシオ、富重久子各氏が選考委員を務めた。
 鈴木委員による講評では、「ガリンペイロ(採金夫)体験記」は「著者がアマゾンでガリンペイロを体験した記録としての内容が秀逸だった」とし「国二つ背負いて」は、ブラジル移住50年および金婚式を記念して夫婦で制作されたこと、「コチア青年—妻と歩んだこの道」は、妻に焦点を当てるという今までにない工夫がされていたことなどが入賞の理由として挙げられた。
 続いて各受賞者に表彰状および賞金が贈られ、増田氏への表彰は息子のキイチロウさんが受け取った。
 受賞者を代表した杉本有朋さんの謝辞を、妻千尋さん(77、佐賀)=ロンドリーナ市=が「当時の過酷な重労働と悪環境により肺気腫を病み歩くことも困難で出席できないが、こうして受賞したことは栄えある名誉です」と代読した。
 新井夫妻は「金婚式を記念して、初めて一緒に本を作った。2人で授賞式に参加できてうれしかった」とは仲睦まじく笑顔を見せた。
 コチア青年連絡協議会の白旗信会長の妻諒子さん(68、長野)=イビウナ市=も式典に出席、「今回の記念誌は、普段は表に出てこない妻たちが執筆したことで一層の共感を呼んだと思う」と喜びを語った。
 また、同会場では「第2回全伯俳句大会」の兼題入賞者16人にも表彰状が手渡された。
 日本語、ポ語、漫画の3部門から計10作品が受賞した。作品名および作者は次の通り。
 【日本語部門】
◎散文賞(佳作)=「ガリンペイロ(採金夫)体験記」杉本有朋著。
◎韻文賞(佳作)=「国二つ背負いて」新井均、新井知里共著。
◎記念誌賞(佳作)=「コチア青年—妻と歩んだこの道」コチア青年連絡協議会。
◎特別賞=「蜂鳥二十五周年記念合同句集」富重久子編集。
【ポ語部門】
 「ニホンジン」オスカー・ナカザト著、「コントス・ド・ソル・ナッセンテ」アンドレ・コンドウ著、「レトラットス・ジャポネス・ノ・ブラジル」マリリア・クボタ編集。
【マンガ部門】
 「ベンシ・エ・ナツミ」アラミール・ガブリエリ・ペソア著、「ハイーゼス」トーマス・ヒデユキ・キムラ・オカ著、「ワールド・ポリス」ウィルソン・コハマ著。