明治神宮=春・秋の大祭献詠歌=ブラジルから13句選ばれる

ニッケイ新聞 2011年11月29日付け

 明治神宮春・秋の大祭では今年も奉祝献詠短歌大会が催された。ブラジルからも多数の作品が応募され、1首が入選、12首が佳作に選ばれた。作品は以下の通り。
     ◎
 【春の大祭】▽入選=「二世の友四世の孫につけし名は母の名受け継ぐ「縫」といふ字」(中野豊子)▽佳作=「いわしぐも三三五五に群がりて祖国へつづく空がやさしい」(上山泰子)、「京極よ祇園よ五条大橋よ京に生れて異国に死ぬ身」(梶田きよ)、「満月を守りゐるがのオリオンを夜間飛行の赤き灯よぎる」(金谷はるみ)、「菊さくら柿やりんごも連れてきて住めば都ぞ百年たてば」(神林義明)、「移民らを慰め励まし百年の道程をともに十字の星よ」(北川晴子)、「乳匂ふひ孫抱きゐるやすらぎを許せ凍土に眠る戦友」(谷口範之)。
 【秋の大祭】佳作=「老木のクロトン燃ゆる朝の火にわたしもそこに燃えて立ち居り」(上山泰子)、「はらからは曾孫の世代リベイラの精霊流し此岸はなるる」(上妻博彦)、「「身をいとへ」と互みに言いつつ改札をへだてて立ちぬ息子と我は」(崎山美知子)、「被災して再興に挑む兄弟に母の形見の三万円送る」(末定いく子)、「アルゼンチンに雪降りしとふこの朝南の風の寒さ身に染む」(藤田朝壽)、「移り来て七十余年ブラジルに曾孫増えつつわが世過ぎゆく」(山岡樹代子)。