リベルダーデが地盤沈下!?=ガ・ブエノ街が通行止め=サ・ジョアキン街に続き=困惑顔の日系店主ら

ニッケイ新聞 2011年12月8日付け

 リベルダーデ街が沈むー!? サンジョアキン街にTVにも取り上げられるほどの大穴が空いたのは数カ月前の話。今度は下水工事が進む文協横のガルボン・ブエノ街で6日夜から地盤沈下が始まり7日現在、すずらん灯は倒れ、通り半分が完全に陥没したことで完全閉鎖、復旧の目処は立っておらず、グローボ局もヘリで中継した。呆れ顔で現場を眺める人たちからは、ブラジルのインフラ整備のずさんさもさることながら〃人災〃との声も聞こえてくるのだ。

 「全く…商売あがったりだよ」。今回の地盤沈下で、店をいったん閉めざるを得なくなった店主に状況を説明して頂こう。
 「ここいらは元々水はけが悪いんですよ。その上に建物、ビルを建てるから具合が悪い。今までの下水道で対応できなくなったから、文協前で工事が始まったわけだけど、仕事も雑なんでしょ。ちゃんと事前調査してないのか補強しながらやらなかったからなのか」
 7日朝に調査を行なった地盤の専門家から「倒壊の恐れはない」とのお墨付きを貰ったそうだが、シャッターの下りた自身の店を眺める目は不安そうだ。
 「結局、元凶はあれなんだよね…」と向けられた視線の先にあるのは、レストランで働く多くの中国人が住むことで知られるファグンデス街の突き当たりに立つ新築アパート群だ。
 リ街で商売を営む事情通の二世は解説する。
 「3月25日街を取り仕切っている有名な中国人がいるでしょう。ここだけの話、彼が水道局に賄賂を渡して無理を通したって話だよ。あの場所はあんなビルを建てちゃいけないんだよ。地盤がゆるいも何も川があったんだからね」
 かつてのリ街をご存知の方は思い出すだろう。大正小学校の裏手、つまり現在の文協体育館棟あたりには小川が流れていた。地下に水脈があり、周辺に立つ民家の地下室の湿気は尋常ではない。
 同アパートの駐車場はサンジョアキン街に面しているが、雨の際は完全に浸水。冒頭に触れた同街の陥没もそうした理由なのだという。
 「川の上にビル建てたうえに、住んでいる人間が大量の水を流すんだから、おかしくなるのも当然」(前出の商店主)
 風水の見地からはどうなのかは専門家に聞かないと分からないが、リ街の住人からは「本国同様、中国の経済優先主義が問題を引き起こしている」との見方が強いようだ。
 足元に倒れたすずらん灯をみやりながら、日系三世の女性がつぶやいた。「日本と同じでリベルダーデも中国パワーにもう完全にやられてしまったみたいね」