パラナ州=バンデイランテス市が文協新会館を落成=百周年記念で建設開始=「日系人への感謝の気持ち」

ニッケイ新聞 2011年12月9日付け

 パラナ州バンデイランテスの市役所は11月11日、日本移民百周年事業として建築を進めていた日伯文化センターの落成式を、同市市政77周年記念祭を兼ねて行った。08年当時市長を務めていたジョゼ・フェルナンデス・ダ・シルバ氏が、「市の発展に長年貢献してきた日系人への感謝の気持ち」と市内の中央公園に建設したもの。バンデイランテス文化体育協会(宮城ルイス会長・160家族)は「日本文化を伝える場になる」と喜んでいる。

 正式名称は『長谷川多喜子日伯文化センター』といい、同市の日本語学校で30年教鞭を執り、ライオンズクラブ婦人部役員を務めた故長谷川多喜子氏を顕彰している。
 施設は600平米の1階建て。約400人を収容できる多目的ホールのほか、事務所と炊事場がある。瓦葺で白を基調に赤い線が入れられた外観は、公園の角に設置された鳥居とともに日本らしさを醸し出している。
 建設費は市と連邦政府の観光局から出された。当初の予算70万レアルを超え、およそ100万レアルがかけられた。
 同地文協は自前の会館を持っているが、72年竣工とあって建物が老朽化していたため、新施設を望む声があった。08年当時、親日家のフェルナンデス市長の発意に文協も賛同し、建設が始まった。センターは市が管理し、利用者には自由に貸し出しを行う。
 落成式にはセーリョ・ベネジット・ダ・シルバ市長夫妻、在クリチーバ日本国総領事館の山口登総領事、西森ルイス下議などが出席。玄関では市長夫妻によるテープカットが行われた。
 山口総領事は挨拶で「パラナでは和太鼓やYOSAKOIソーランなどに日系人の若者が多く参加している。この施設ができたことで更にその動きは広がりを見せるだろう。また日本文化による情操教育は非行を防ぎ、犯罪防止にもつながる」と称讃した。
 創立当時から会長を務め上野憲治評議員長は「立派な会館。多くの非日系を呼んでの和太鼓演奏会や日本舞踊の発表など、日本とブラジルの文化交流に使っていきたい」と喜んでいた。
 式典は和太鼓の演奏や幼児たちによる日本舞踊、マツリダンスなどが披露され幕を閉じた。