なでしこユースの親善試合を=あしなが育英会が震災支援=遺児救う施設の建設目指し=日本サッカー協会も協力

ニッケイ新聞 2011年12月23日付け

 女子ユースサッカーの日伯親善試合を東日本大震災1周年に開催——。震災で親を亡くした子供達の心のケアをする施設「東北レインボーハウス」の建設を計画する「あしなが育英会」(玉井義臣会長)が費用捻出を目的に、サンパウロとリオで開催する。日本サッカー協会が全面協力する。20日に来伯した玉井会長(77、大阪)は「日本側からチームを出すという話がまとまったところ。ブラジル側チームなどの調整はこれから」とやる気の表情を見せた。

 あしなが育英会は東京都に本部を置き、国内外の遺児を支援している非営利組織。震災発生の2日後、使途自由で返済義務のない資金を震災・津波遺児に給付する「特別一時金」の実施と「東北レインボーハウス」の建設を決定した。
 「特別一時金」の給付は震災と津波で親を亡くした0歳から大学院生までの青少年が対象。募金で38億3800万円が集まり、2千人に一人200万円を4回に分けて分配するもので、来年3月10日まで募金が継続される。
 東北レインボーハウスは仙台にセンターを置き、被災地4カ所に設置される。建設・運営費として35億円の募金を目標とし、すでに14億円が集まった。
 残りの21億円は現在世界中で寄付を募っており、ブラジルでの活動に関し、三輪昭在ブラジル大使に直接依頼したという。
 来伯するのは、全日本女子サッカー選手権大会で高校生チームながら3位に輝いた常盤木学園高校(宮城県仙台市)の選手を中心に編成したチーム。
 日本サッカー協会が年明けにも、ブラジルサッカー協会(CBF)に正式に依頼し、開催日時、場所、ブラジル側のチーム等の調整を行なう予定だ。
 「サンパウロ、リオで2試合ほどの親善試合開催が見込まれており、試合以外にも、現地での同世代や日系社会との交流、子供達へのサッカー教室などの日伯交流も企画されている」と説明する玉井会長は、コロニア関係者への説明会などを行ない26日に帰国する。