市の通行規制に猛烈抗議=セアザ組合員「完全に営業妨害」=陳情に安部下議も腰上げる=委員会発足、善処策を検討へ

ニッケイ新聞 2011年12月24日付け

 今月、サンパウロ州食料供給センター(CEAGESP、以下セアザ)に通じるマルジナル・ド・ピニェイロスとバンデイランテス大通り、マルジナル・ド・チエテなどで一部の時間帯にトラックの通行が規制されたことを受け、セアザで農産物の販売、購入などに携わる人々から「仕事に支障が出る」と反発の声が上がっている。安部順二連邦下議とセアザ組合員ら約30人がマルセーロ・ブランコサンパウロ市交通局長らと21日に会合をもち、行政側と交渉する委員会を設置し、善処が検討されることとなった。

 これら規制はサンパウロ市の交通渋滞や環境問題対策として07年から計画され、翌年からセントロを中心に各道路で実行に移されてきた。
 マルジナル・ド・ピニェイロスとバンデイランテス大通りは今月1日から、マルジナル・ド・チエテは12日から、それぞれ規制の時間帯がそれまでの午前5〜9時と午後5〜9時から、午前4〜10時と午後4〜10時(平日のみ)に拡大された。
 セアザ付近は規制区域ではないものの、サンパウロ市近郊の業者はマルジナルを通らないと市内にすら入れない。しかもこの時間帯はセアザに各種農産物が運び込まれ、フェイランテや商店が商品を仕入れるためセアザを出入りする時間帯に当たる。
 サンパウロ市交通技術公社(CET)やレーダー装置が監視し、規則を遵守しなかった運転手に対しては罰金が科せられる。マルジナル・ド・ピニェイロスとバンデイランテス大通りでは8日から実施しており、マルジナル・ド・チエテは1月半ばから適用されるという。
 ただし救急車やゴミ収集車、軽荷車、郵便局の配達トラックなど規制対象の例外もあり、その中には保存の利かない食料を運ぶトラックも含まれているが、規制対象外だと認められるためにはその都度、許可証の提出が求められる。
 この状況を受け、セアザで営業許可を受けている人々で構成される組合(SINCAESP)の組合員らが安部順二下議に規制撤廃を求めて陳情、安部下議は20日、ジルベルト・カサビサンパウロ市長と会談。その翌日、今回の会合となった。
 農家、セアザやサンパウロ州農村連盟(FAESP)、サンパウロ、モジ、スザノ、イビウーナなどの農村協会、フェイランテ協会、労働組合関係者、運送業者など約30人が出席した。
 安部下議は「このような大事な問題を、農業関係者らと事前に協議もせず勝手に決めないでほしい」などと述べ、出席者も個々の事情を訴えた。
 「一台の大きなトラックではなく、小さな2台で運ぶという方法もある」という市側の提案に、運送業者は「そんな費用はない」と一蹴し、スーパーに食品を卸す卸業者は「規制時間終了後では、店が商品を受け入れる時間帯に合わない」と訴えた。
 会合の結果、各組織の代表者6人からなる委員会を設置し、規制時間の変更やトラックを登録すれば許可証無しで自動的に通れるようなシステムの早期構築、その登録のための事務所のセアザ内設置などを要請し、CET担当者と交渉することとなった。
 委員となったサンパウロ農村協会の井出勇一会長(72、二世)=イタチーバ在住=は「まだ完成もしていない環状道路を通れと言うが、それだと100キロ以上遠回りになる。市はいつも机の上でものを考えるだけ」と憤りを見せていた。